馬券術どおりに買ったら、こうなった。

「新システム」発動す

今週は「前走6着」に次ぐ新システムを発表したいのだが、
その前に先週の振り返り。

もっとも、振り返りといっても、
先週の更新であげた6頭は
ほとんど見せ場のない敗退に終わってしまったので
レースを見てはうなだれるばかりではあったのだが……。

これで、

・前走6着
・前走着差1秒未満
・前走1700m以上
・前走ダート

の条件に該当する馬を買いはじめて以来の単勝回収率は、
33戦2勝で83%ということになる。
控除率分20%を差し引けば悪い数字ではないが、
満足のいくものではない。

ひとつ言い訳があるとすれば、
この33戦のなかには、当日人気が1~3番人気の馬も含まれていること。
このシステムを発表した『狙うのは、ズバリ』の回で
「当日1~3番人気に推された場合は単勝回収率75%どまりなので、
ここは避けたいいかもしれない」と書いていたのだが、
実際に体験してみて買うかどうかを決めようと思い、
条件にさえ合致すれば、当日人気を問わずすべて買っていた。

実際に買ってみて、
やはり1~3番人気は買わないほうがいい、と判断したのが、
『「前走6着馬」のグランプリ制覇に思う』の回。
もし、仮に当日1~3番人気だった馬を除けば、25戦2勝で単勝回収率109%となる。

こうした体験を踏まえて推測するに、
「前走で6着に敗れていたのに、今度のレースでも1~3番人気に推されている」
場合は、過剰人気である可能性が高く、
「前走は6着だが、実際には僅差。今度もあまり注目されず4番人気以下」
の場合は、実力を過小評価されている可能性が高い。
そのように考えてもいいのではないだろうか。

もっとも、1~3番人気を除いたとしても25戦2勝。
以前、「10連敗ぐらいは当たり前」と書いたとおり、
このぐらいの勝率になるのは覚悟していたが、
データ的には必ずプラス収支になるはず、と確信してもなお、
実際に買ってみると、負け続けたときの精神的なダメージが思った以上に大きい。
新しいシステムを開発しなくてはならない、
それも、もうすこし勝率の高いシステムを。
そうした意を改めて強くした次第である。

そこで、
『前走の「人気と着順」だけで100万馬券が当たる法則』に立ち返り、
前走で3、6、9着馬から新システムを発見しようと、
新たにデータを調べ直すこととした。
普通に考えれば、このなかで高い勝率を期待できるのは前走3着馬だろう。

新システムの土台となる考えは「前走6着」のパターンと同じである。
見かけ上は同じ3着でも、1着馬との着差がわずかな馬もいれば、大差の馬もいる。
もちろん狙うべきは、より高い実力を持つであろう前者だ。

また、「前走6着」のパターンでは、「前走ダート」という条件があったため、
次のレースでもダート戦に出ることが多かった。
大事なのはなにより回収率なのだと割り切ってしまえば、
芝だろうがダートだろうが関係ないのだが、
芝でも馬券を買いたいという気持ちもつきまとった。
そこで、新システムでは芝で買えるような条件にこだわりたかった。
個人的に芝を買いたいというだけでなく、
「前走6着」と「前走3着」の条件合致馬が
同じレースでバッティングする事態を避けられると考えたからでもある。

ただ、「前走3着」ともなると、
当然のことながら、今度のレースでも有力視されて人気になることが多い。
そのため、回収率が高い条件を発見するのに苦労することとなった。
たとえば、「前走6着」の場合と同じように、
1~3番人気を避けて、4番人気以下だけを買うようする、
という条件でも、回収率が上がってこない。
単純に人気の落ちた馬を狙うだけでは、ダメなようなのだ。

そんなときに思いついたのが、
「同じ着差でも、前走でより高い人気を集めていた馬のほうが狙えるのではないか」
ということである。
前走も上位人気なら「実力どおりに走って僅差の3着」という可能性が高い。
今度のレースでも実力どおりに走れば、上位に来る可能性が高いはずだ。
逆に、前走が10番人気での激走3着なら、
展開が向いただけのフロックという可能性も十分にあるはずだ。
今度のレースがどの馬にも有利不利のない展開になれば、
実力どおりの着順に収まる可能性が高いのではないか。

そう考えてデータを出したところ、この推測は間違いではないようだった。
前走で上位人気だった「前走3着」のほうが、下位人気の「前走3着」に比べて
今度のレースでの回収率が高い傾向にある。
具体的には、前走で1~4番人気だった馬の回収率が優秀だ。
そして発見した条件がこれである。

・前走3着
・前走着差1秒未満
・前走芝2500m以上
・前走1~4番人気
・当日4~9番人気

2500m以上の長距離を走って1秒未満のわずかな着差。
そして、前走で1~4番人気に推されていたように実力の裏付けもある。
そんな馬が当日4番人気以下なら、当然ながら絶好の狙い目となるはずだ。

「前走人気」を考慮する以外に「前走6着」のシステムと大差はないのだが、
前走で僅差のレースをしながらあまり人気のない馬を狙う、
という目的は同じなので、それは当然でもあろう。
また、当日人気が4番人気以下を狙うという点は「前走6着」と同じだが、当日人気は9番人気まで限度。
これより下の人気では明らかに回収率が低下している。
「前走3着」なのに当日人気があまりにもないような馬の場合は、
明らかな調子落ちなどの要因を考慮するべきなのだろう。

この条件を満たした馬の過去3年(07~09年)は、
「勝率21.1%、単勝回収率248%」
と素晴らしい成績を残している。

ただし、
現在の番組表では長距離戦が少ないので、
「前走芝2500m以上」に該当する馬は実際にはあまりいないかもしれない。
そこで、もうひとつのパターンも調べておいた。

・前走3着
・前走着差0秒5未満
・前走芝1200m以下
・前走1~4番人気
・当日4~8番人気

考え方は「前走芝2500m以上」の場合と同じ。
ただし、長距離戦に比べて距離が着差がつきにくい「前走1200以下」という条件なので、
着差の基準を「前走着差0秒5未満」に厳しくした。
短距離戦では道中のひとつのミスが致命的になる。
それだけに、前走で僅差の3着馬が巻き返すことは十分に考えられるし、
前走で上位人気に推されていた実力馬なら、その可能性はさらに高いはずだ。

この条件を満たせば、
「勝率14.0%、単勝回収率189%」とすさまじい。
近3年のデータを見たところ、毎週1頭、2頭は該当馬がいる。
数は少ないが、高配当を期待できるはずだ。
「これではあまりにも数が少なすぎる」とご不満の方は、
条件を「当日1~8番人気」まで緩和してもいい。
この場合、単勝回収率113%と爆発力は落ちるが、勝率22.2%と確実性はアップする。

当日人気が重要な要素となるため、
外せない用事でリアルタイムに買えない場合には運用できないのが弱点ではあるが、
「前走6着」システムとともに今週から実験していきたいと思う。

●今週末(2010年1月23日、24日)の該当馬

【土曜・前走6着】
京都6R キャメロンバローズ
中京1R ケイアイブル

【日曜・前走6着】
中山12R ランフォルセ
中京1R ストークフィールド
中京4R ウインスカイハイ
中京7R メモリージャグラー
中京12R ナリタベガ

【日曜・前走3着】
中京5R エナジーハート、ルナピスタ

自分では予想しないほうが、当たるのでは…
出川塁(でがわ・るい)

1977年熊本県生まれ。出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。『競馬最強の法則』『サラブレ』を中心に寄稿。得意ジャンルはデータ解析。メインとする競馬のほか、サッカーでも活動中。

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