馬券術どおりに買ったら、こうなった。

馬券術のコラボで勝負

先週の小倉スポット参戦は大失敗に終わった。

小倉は先週からBコース替わり。
ただ、内だけでなく外も荒れ始めているので
コース替わりは軽視してもいいのではないか、
と考えたのだが、まったく迂闊な判断だった。

土曜の1Rに組まれていたのが
2歳未勝利の芝1200m戦だった。
このレースがどのように決まるかで、
私の予想したマレーシアCの結果も
ある程度わかるのではないかと
いささか緊張しながら見ていたのだが、
これが1分8秒4の高速決着。
上がりタイムも34秒2とかなり速い。

軽快なスピードと切れ味を併せ持った馬に
有利な馬場であろうことが容易に推測できるレース結果。
マレーシアCで重視した
「上がりのかかるレースの実績馬が有利」とは、
ハッキリ言って正反対のベクトルである。
朝イチの段階で、
いきなり絶望的な気分になってしまった。

数時間後。
案の定、マレーシアCも1分8秒0の高速決着である。
上がりタイムも34秒8と速く、
これでは、前走で同じ小倉の高速決着を
33秒台の上がりを使って勝っていた
マルカベストの展開だった。

残念な結果ではあるが、
1週経てば次のチャンスがあるのが
競馬のいいところでもある。
先週の小倉は高速決着になったとはいえ、
6週使われた馬場はまたすぐに傷むはず。
今度こそ
「上がりのかかるレースの実績馬が有利」
を信じて、
最終週の小倉2歳Sでリベンジを狙いたい。

その前に今週の札幌である。
とにかく、なんといってもキーンランドCがある。
ここを当てなければ、
なんのために札幌芝1200mを買ってきたんだ、
という話だ。

もっとも、土方氏に言わせれば、
重賞だからといって勝負レースとは限らないのだろう。
たとえば、土曜8Rの芝1200m戦、
まりも特別に絶好の狙い馬がいるのであれば、
そちらに資金を集中投下するのが
正しい馬券師の姿というものだ。

しかし、残念ながら私は、
馬券師ではなく、一介の馬券好きである。
そもそも集中投下するほどの資金がない、
という問題はさておき、
せっかく予想するのであれば
知っている馬が多い重賞のほうが楽しいし、
当たったときの喜びも大きい。
それに末席とはいえ競馬ライターをやっているのなら、
注目度の高い重賞を予想するべきでもあるだろう。

というわけで、キーンランドCである。
しばらく的中から遠ざかっているし、
そろそろ当てなくてはならない。
最近の札幌芝1200mでは
外枠を狙うことが多かったのだが、
うまくいっているとは言いがたいのが正直ところである。
こんなときこそ原点に回帰すべきだろう。

『プロ馬券師土方吾郎が毎年確実に大儲けする理由』
によると、
札幌芝1200mのポイントは以下のとおりだ。

・圧倒的に外枠不利
・末脚が確実な内枠の馬を中心に
・外枠に人気馬がいるレースはボーナスチャンス!
・同じ北海道でも函館とは正反対

このようになっている。

いきなり「圧倒的に外枠不利」とあるのに、
外枠を狙っていた私はなんなんだという話ではあるが、
まったく根拠なく狙っていたわけではないのは、
過去の予想を見ていただければわかるはずだ。

しかし、それでうまくいっていないのだから、
ここは土方氏の言葉を信じるべきだろう。
なにせ、この予想のタイトルは
「馬券術どおりに買ったら、こうなった」
である。

改めて、今年の札幌芝1200mのデータを見てみよう。

やはり、1~3枠が
勝率、複勝率ともに優秀のようだ。
ただし、単勝回収率が低めで
極端な穴馬の激走はあまり期待できない。

複勝率だけなら8枠も
1~3枠に匹敵する数字を残しているが、
勝率ではガクンと下がっている。
スムーズに走れる8枠には安定感はあるが、
距離損も大きく勝ちきれないことも多い。
そんな傾向があるのではないだろうか。

単勝派の私は、
やはり勝率の高い内枠で勝負するのが正解だったのだろう。
しかし、回収率が低いので、
ぼんやりと人気馬を買っていては必ず損をする。

それを避ける方法として考えられるのはふたつ。
ひとつは、
自信のあるレースにドカンと突っ込んで、
勝ち逃げを狙う方法。
しかし、弱小競馬ライターの私には
そんなカネもなければ、度胸もない。

であれば、
不当に人気を落とした馬を狙うしかない。
そして、不当に人気を落とした馬を
見つけるための馬券術といえば、
「2走前理論」があるではないか。

1~3枠で「2走前理論」に該当する馬を探す。
いた。
1枠1番のトレノジュビリーだ。

CBC賞を取り消した影響もあり、
前走のUHB杯は7着に敗退。
CBC賞を取り消しているので
テレビ愛知オープンを前走とみなすと、
そこは1分6秒9の好時計で快勝している。
そして上がり3ハロン33秒4の脚を見せている。
これは土方理論のポイントにもドンピシャである。
これしかないだろう。

ふたつの馬券術をコラボして選んだ本命馬、
トレノジュビリーで勝負だ。

自分では予想しないほうが、当たるのでは…
出川塁(でがわ・るい)

1977年熊本県生まれ。出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。『競馬最強の法則』『サラブレ』を中心に寄稿。得意ジャンルはデータ解析。メインとする競馬のほか、サッカーでも活動中。

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