馬券術どおりに買ったら、こうなった。

狙うのは、ズバリ

今回、新たに取り組むこととなった
『前走の「人気と着順」だけで100万馬券が当たる法則』。

この馬券術を全面的には支持できないものの、
そのなかで述べられている
「前走3、6、9着馬は、次走で仕上げてくる可能性がある」
という部分には説得力があり、そこを掘り下げていきたい、
といったことを先週述べた。

もっとも、
「前走3、6、9着馬を狙う」といっても、
土日48(72)レースの出走馬に
「前走3、6、9着馬」は山ほどいる。
狙いもなく単純に狙い続けるだけでは、
それこそ「控除率の壁」に簡単に跳ね返されてしまうだろう。
なんらかの絞り込みをかけなくてはならない。

そこで、まず単純に
「前走3、6、9着馬のなかで、いちばん儲かるのはどれなのか」
を調べてみた。
2007年以降では、

・前走3着馬……勝率13.8%、単勝回収率73%
・前走6着馬……勝率6.5%、単勝回収率83%
・前走9着馬……勝率3.7%、単勝回収率79%

となっている。

勝率はやはり「前走3着馬」が明らかに優秀。
しかし、単勝回収率では前走6着馬に10%もの差をつけられている。
「前走6着馬」は単勝回収率83%。
単勝式の場合は控除率が約20%なので、
すでに控除率の壁を越えている計算になる。

また、
「前走9着馬」の勝率3.7%はいかにも厳しい。
単純計算で、25レースに1回も当たらないことになる。
3場開催時の1日36レースの馬券を全部買ったとして、
1レースか2レース当たるかどうかという確率。
さすがにこれではストレスが溜まってしまう。
ストレスを溜めた状態で馬券を買うのがいかに危険な行為か、
みなさんよくご存じのとおりだと思う。

ちなみに、前走1~18着馬の18通りのうち、
もっとも高い単勝回収率を示しているのが「前走6着馬」である。
掲示板に載る馬とほぼ同等の力を持っているのに、
「前走で掲示板を外した」
という事実によって有利なオッズを示す傾向があるのではないだろうか。

どうやら、単純に前走着順から予想するのであれば、
「前走6着馬」を狙うのがいいようだ。
しかし、「前走6着馬」の単勝回収率が有利とはいっても、
残念ながら83%どまり。
プラスを出すには遙かに及ばない数字である。

もうすこし、絞り込みをかけなくてはならない。
まず、注目したファクターが「着差」である。
当然のことだが、
同じ6着でも、1着馬から2秒離された6着と、
1着と0秒3差の接戦だった6着ではまったく価値が違う。
前者は、どうやっても勝ち目のない決定的な6着かもしれないが、
後者であれば、展開ひとつでひっくり返す可能性も十分にあるだろう。
それでいて、「着差」は「着順」に比べて注目されないため、
「2秒差の6着」も「0秒3差の6着」も
同じような扱いをされることがままある。

当然、狙うべきは接戦の6着である。
そして、
「前走6着馬」のデータを確認したところ、
前走の着差が「1着馬から1秒未満かどうか」で
勝率、回収率が大きく変わることが判明した。

【前走・1着馬からの着差】
・1秒未満……勝率7.7%、単勝回収率94%
・1秒以上……勝率4.9%、単勝回収率70%

どちらを狙うべきか、説明するまでもないだろう。

単勝回収率100%超を達成するまでもうひと息。
「前走6着・着差1秒未満」のデータをさらに確認していく。
すると、「前走距離」や「前走が芝かダートか」で数字が変わってくることがわかった。

【前走距離】
・前走1600m以下……勝率6.9%、単勝回収率88%
・前走1700m以上……勝率8.7%、単勝回収率102%

【前走馬場】
・前走芝……勝率7.6%、単勝回収率86%
・前走ダート……勝率7.9%、単勝回収率109%

前走距離は1700m以上あったほうがよく、
前走の馬場はダートのほうがいい。
そんなデータが残っている。

一般的に、短距離戦より長距離戦のほうが着差がつきやすく、
芝よりダートのほうが着差がつきやすい。
したがって、同じ「着差1秒未満」でも
着差のつきやすい条件で記録した数字により価値がある。
だから、「前走1700m以上」や「前走ダート」のほうが
優秀な数字になっているのだろう。

ここまで列記した有利な条件をすべて掛け合わせると、

・前走6着
・前走着差1秒未満
・前走1700m以上
・前走ダート

となる。
これをすべて満たした馬の成績は、勝率9.1%、単勝回収率122%。
ここを狙っていきたい。

ただし、当日1~3番人気に推された場合は単勝回収率75%どまりなので、
ここは避けたいいかもしれない。
前走6着にもかかわらず
上位人気に推される実力馬という評価もできるが、
この場合はやや過剰人気。
4番人気以下では単勝回収率135%なので、
ダークホース扱いのほうが狙いやすいだろう。

4つ条件にすべて当てはまる馬となるとさほど多くはないかもしれないが、
しばらくは追いかけていこうと思っている。

●今週末の該当馬

【土曜】
中京5R……マイネルビスタ、ニューロザリオ
中京7R……アイソトープ
中京10R……スズカフレーム

【日曜】
阪神6R……オースミマコ、ナムラフューチャー、メイショウスクラム

自分では予想しないほうが、当たるのでは…
出川塁(でがわ・るい)

1977年熊本県生まれ。出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。『競馬最強の法則』『サラブレ』を中心に寄稿。得意ジャンルはデータ解析。メインとする競馬のほか、サッカーでも活動中。

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