馬券術どおりに買ったら、こうなった。

泣きの延長戦

悔しい。
あまりにも悔しい。

前回の更新で
NHKマイルCの本命に抜擢した
レッドスパーダは2着。

「期待はむしろ高まっている」
と書いたとおり、
レッドスパーダは見事な走りを見せてくれたのである。
だから、ようやく走ってくれて安心した。

しかし、
肝心の馬券で大失敗をしてしまったのである。

このNHKマイルCで、
激走の可能性を秘めた馬として該当したのは
レッドスパーダのほかも3頭いた。

ワンカラット、ラインブラッド、
そして勝ち馬のジョーカプチーノである。
このなかからレッドスパーダを本命としたのは、
過去のデータに基づいて私が選んだもの。
だからそのことについては後悔はない。

なぜ頑固に単勝勝負に挑んだのだろうか。
皐月賞のときにも書いたとおり、
確かに私は単複派であり、そのときは、
うかつに馬連に手を出したことに後悔した。

しかし、このレースはまた別の話で、
4頭で馬連BOXを組んでもたったの6点。
いちばん安いレッドスパーダとワンカラットの
組み合わせでも50倍はついていたのだ。
これなら、レッドスパーダの単勝にこだわる必要は
まったくなかった。
せめて押さえておくべきだった。

ゴール前、脚色が鈍る様子のない
ジョーカプチーノを追うレッドスパーダに
届かないとわかっていても
「差せ!」と空しく叫ぶのが精一杯だった。
あげく、単勝馬券を紛失する始末……。

いやあ悔しい。
そこで、今回は本来、
「2走前馬券術」の考案者である
上井格之進氏のインタビュー記事を
掲載するつもりだったのだが、
先週の結果があまりにも悔しかったため
もう1週ほど予想を続けたいと思う。

いわゆる「泣きの」延長戦が、
古今、好結果を生んだためしがないことは
わかっている。
ただ、インタビュー取材を行ったことで、
この馬券術に対する理解度が
深まったように感じてもおり、悔しさもあいまって
どうしても挑戦してみたいのである。

インタビュー中で上井氏が言っていたことで
もっとも印象に残っているのが、
「この馬券術はあくまで、実力のわりに
人気を落とした馬を探すためのものであって
2走前で好走していた馬をオートマチックに買う
というのはちょっと違うんですよ」
ということだった。

まさにガツンと殴られた気分だった。
そうなのだ。
私は、2走前に好走し、
前走で凡走したことによって人気を落とした馬を
探すことばかりに気をとられ、
「実力のわりに人気を落とした馬を探す」
という肝心なことに対する意識が
薄くなってしまっていた。

ちなみに、上井氏は
「おいしくジョーカプチーノの単勝を
いただきました」
とのことだった。
その理由を尋ねると、
「2走前が500万下1着で
5番人気のレッドスパーダと、
2走前が重賞1着にもかかわらず
10番人気のジョーカプチーノ、
どちらを買うべきかは考えるまでもないでしょう」
とのことだった。


泣きの延長戦、
できればヴィクトリアマイルで勝負したいのだが、
これといった馬が見あたらなかった。

そこで、土曜の京王杯SC。
ファリダットは常に過剰人気だし、
近2走で9番人気から3着に好走している
スマイルジャックもここでは人気を上げてきそう。
前走こそ勝ったタケミカヅチも
本来は勝ちきれない馬で過信は禁物。
穴馬が台頭する舞台は整っているのではないか。

狙うのはトウショウカレッジ。
今季の充実ぶりは目を引くし、東京1400も得意コース。
意外と人気になる可能性もありそうだが、
内パクの豪腕に期待したい。

自分では予想しないほうが、当たるのでは…
出川塁(でがわ・るい)

1977年熊本県生まれ。出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。『競馬最強の法則』『サラブレ』を中心に寄稿。得意ジャンルはデータ解析。メインとする競馬のほか、サッカーでも活動中。

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