馬券術どおりに買ったら、こうなった。

世間は三強と言うけれど

まずは先週の振り返りから。

土曜日のニュージーランドTで狙った
ケイアイテンジンはいいところなく14着に敗れた。

「芝でもやれる」という陣営の声に期待したのだが、
福永騎手のレース後コメントによると
「現状ではダートのほうがいいのかな」
とのこと。

 
 20倍ついていたケイアイテンジンの単だったが…

もともと人気薄を狙っているのだから
大敗もありうるとわかってはいても、
道中は見ていてツラかったのが本当のところだ。


 しかし、狙うは人気薄。ひとつ入れば大きいはず!

このレースを勝ったのがサンカルロ。
前走のスプリングSは4着に敗れていたが、
2走前は1着だったので、
「前走着順を無視して、2走前に注目する」
というコンセプトに
合致する馬に思えるかもしれない。

ところが、サンカルロは1番人気。
ここが大きな問題だった。
『「2走前」を見るだけで高配当が当たる本』は、
「実力があり、調子も悪くないのに、
たまたま前走で凡走して不当に人気を落とした馬」
を見つけるための馬券術。
いくらパターンに合致していても、
1番人気を買っていては本末転倒なのである。

土曜は土曜、日曜は日曜。
先週予想したもうひとつのレース、
桜花賞ではジェルミナルが3着に好走。
第3回にしてようやく的中、のはずだったのだが……。

まったくの私事ながら、
桜花賞の前後は仕事が忙しく徹夜続き。
ジェルミナルというのは決まっていたので
さっさと馬券を買えばよかったのだが、
万全を期そうとパドックを待ったのが裏目に出た。

「……では、ブエナビスタが勝った
桜花賞をVTRで振り返りましょう」
うっかりウトウトしてしまい、
目が覚めたときには、とうにレースは終了。
呆然としながらながめたレースリプレイでは、
ジェルミナルがしっかり末脚を伸ばして3着。
1、2番人気の堅い決着となったので、
馬券のキーとなる3着馬を予想していたのだから、
我ながらいい狙いだったと思うのだが……。

当然、いくら予想がよくても、
その馬券を買えなければ、負けは負け。
つくづく情けない思いだった。

気を取り直して(と自分に言い聞かせて……)、
今週は牡馬クラシックの第一弾、皐月賞に挑みたい。

ご存知のように、今年の皐月賞は三強。
リーチザクラウン、アンライバルド、
そして、ロジユニヴァースだ。

当然、というのもおかしな話だが、
この3頭は買わない。
いずれも、前走、2走前ともに好走しており、
人気落ちの理由がない。

ただ、ロジユニヴァースは最内枠、
リーチザクラウン、アンライバルドは外枠と
微妙な枠順になったこともあり、
うまく立ち回って一角を崩す穴馬がいても
不思議はないのではないだろうか。

例によって2走前のみを見ていく。
さすがに皐月賞ともなると
各馬なかなかの戦歴を残してきているが、
ふるいにかけてみると
意外と残った馬は少なかった。

たとえば、朝日杯1、2着の
セイウンワンダーとフィフスペトルは
「2走前のレースは3カ月以内であること」
というルールに抵触している。
このルールを使わずとも、
皐月賞は成長期にある3歳馬たちのレース。
2歳時の結果をそのまま受け取ることはできない。

ちなみに、過去10年のデータでは、
新潟、小倉、函館の各2歳Sの勝ち馬で
3着以内に入ったのはメイショウボーラーのみ。
やはり早い時期の完成度と引きかえに、
伸びしろに欠ける面があるのは否めないようだ。

次いで、
「2走前のレースは、今走と同クラスか格上、
または格下の場合はひとつ下まで」
という条件に抵触するのが、
アントニオバローズ、ミッキーペトラなどだった。

この条件は初めて紹介するが、
ひとつ下のクラスの実績ならともかく、
クラスがふたつ下がると
馬のレベルが違いすぎて参考にならないのは明白だ。
まして、この時期の3歳戦で
ふたつ下のクラスとなると未勝利戦。
これはとても参考にすることはできない。

こうしてふるいにかけていった結果、
残ったのがアーリーロブスト、ただ1頭だった。

実は、この馬の2走前、京成杯は1月18日なので、
「2走前のレースは3カ月以内であること」の条件を
たった1日だけ満たさないのだが、
そこは大目にみることとした。

などと言うと
「結局、さじ加減ひとつかよ」
と一斉にツッコまれそうだが、
サンツェッペリン、シックスセンス、
古くはサニーブライアンなど
皐月賞で数々の穴をあけた歴史を持つ
中山2000m実績馬を、
たった1日のことで見捨てるのは
あまりにもったいない。

ロジユニヴァースに勝てるとは言わない。
それでも、中山らしい混戦になれば、
しぶとい末脚を武器とするアーリーロブストが
持ち味を存分に活かす展開もあるはずだ。

自分では予想しないほうが、当たるのでは…
出川塁(でがわ・るい)

1977年熊本県生まれ。出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。『競馬最強の法則』『サラブレ』を中心に寄稿。得意ジャンルはデータ解析。メインとする競馬のほか、サッカーでも活動中。

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