馬券術どおりに買ったら、こうなった。

涙、涙の最終回(ウソ)

人気を過度に気にしなくなったというか、
マニュアルに必要以上にしばられなくなったことが
いい影響を与えているのか、
先週も的中馬券をゲットすることができた。

オークス後の最終レース、由比ヶ浜特別。
狙ったのはオセアニアボスだった。
2走前で同クラスを2着して、
前走では1番人気に支持されたものの6着に敗退。
意欲的な連闘策で巻き返しを図るこのレースでは
バブルウイズアランに1番人気を譲り、
2番人気での出走となった。

そのバブルウィズアランの1番人気が、
いかにも疑問に思えたのだ。
ひと叩きされて上積みが見込めるのはわかる。
ただ、前走は2番人気でコンマ4秒差の5着。
これは、オセアニアボスの前走コンマ3秒差の6着と
ほとんど差がない。

前走で同じようなタイム差で負けている。
両者の戦績を見ても、
ともにこのクラス(1000万下)の連対歴があり、
実力はほぼ互角だろう。
なのに、片方は人気を落とし、
もう片方は1番人気に浮上。
どちらを買うべきか、考えるまでもなかった。



人気サイドなので的中して当たり前。
大口買いをしたわけでもなく、
自慢できるような馬券ではまったくない。

ただ、こんなことは言えるのではないかと思う。
現在の馬券事情を鑑みるに、
「どういう予想をするか」と同じぐらい、
「どういう買い方をするか」は大事になっている。
その点、「2走前理論」を実践してみて、
オッズに対する感覚を磨くことができたことは
個人的に大きな収穫だった。
まあ、それまでが鈍すぎただけかもしれないのだが。

もちろん、個人的なことだけでなく、
「馬券術どおりに買ったら、どうなるのか」
読んでくださったみなさんにも
その姿をお見せできたのではないだろうか。



「皐月賞は応用が効くレースでしたね」

ここからは、
上井氏のインタビュー後編をお届けしよう。

「3強の取捨に使えばいいんです。
ロジユニヴァースとリーチザクラウンは、
2走前が3カ月以上前なのでアウト。
アンライバルドは2走前の若駒Sが3カ月以内で、
1番人気1着だったのでOKです。
それでいて人気もいちばんなかったし(3番人気)、
3強のうちどれかということなら、
迷わずアンライバルドでしたね」

私は「ロジユニヴァースは堅いだろうと」
などと書いて、惨敗でした……。

「残念ながら、
それがいちばんマズいパターンなんです(笑)」


翌週、福島牝馬Sは極悪馬場になったので除外。
日曜東京のフローラSは
アイアムネオを買ったものの、
結果は2~4番人気の堅い決着。

京都のアンタレスSは、
フォーティファイドとダイショウジェットが該当馬で、
準オープンを勝ったばかりの前者ではなく
オープン実績のある後者に期待した。
すでに前走で13番人気2着と激走していたことを
レース前に危惧していたのだが、
やはり立て続けに激走はしてくれなかった。

「該当馬ではあっても、
そういう馬は積極的に買いたくはないですよね。
前走を考慮せずに2走前で判断するのが
この馬券術のキモなんですが、
前走好走馬はどうしても人気が上がってしまうので」

青葉賞、天皇賞(春)は、
個人的にまったくいいところがなかったので、
省略させていただきます。

「いやいや(笑)。
青葉賞は、トップクリフォードでしたっけ?
この馬は2走前を確かに勝ってますけど、
開幕週で超スローペースを逃げ切っただけで
明らかに恵まれての勝利。
本当は強いのに人気を落とした馬を買うことが
大事なのであって、
単に2走前を勝った馬を買うんじゃないんですよ(笑)」


いやあ、この時期はまだ
そのことに気づいてなかったんですね……。
春天で狙ったモンテクリスエスも当日3番人気。
不当に人気を落としたどころか、
むしろ過剰人気でした……。

そして、翌週が、
悔やみきれないNHKマイルCですが、
その前に土曜の重賞がふたつ。
京都新聞杯は狙いたい馬がいなかったので見送り、
新潟大賞典はトウショウウェイヴ。
けっこう自信あったものの、
出遅れてスタートと同時にほぼゲームセット。

「出遅れは別にして、
このレースは、トウショウウェイヴしか
該当馬がいなかったんですよね。
でも、この馬はオープン実績がない。
該当馬なので、もちろん私も買ったんですが、
クラス実績がない馬が1頭だけ残った、
というような場合は、
経験上、あまり好結果にはならないことが多いですね」

NHKマイルCについては重複になるので、
2週前の更新を参照していただきたい。

ただただ、いま振り返っても、
「獲らなきゃいけない」
「獲れてたはず」
ように思える。
しかし、現実は
「獲れてない」
ということで動きようがないのだった。

上井氏の次の言葉に代えて、
本連載の第1回、
「『2走前」を見るだけで高配当が当たる本」編を
締めくくることとしたい。

「ジョーカプチーノは2走前にGⅢを勝っていた。
以上。
そうとしか言いようがないですね」

自分では予想しないほうが、当たるのでは…
出川塁(でがわ・るい)

1977年熊本県生まれ。出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。『競馬最強の法則』『サラブレ』を中心に寄稿。得意ジャンルはデータ解析。メインとする競馬のほか、サッカーでも活動中。

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