馬券術どおりに買ったら、こうなった。

ライター出川塁が千二で負け続ける理由

先週のダービーは
1番人気の皐月賞馬アンライバルドが12着に大敗。
皐月賞で「3強」と呼ばれながら惨敗した2頭、
ロジユニヴァースとリーチザクラウンが巻き返して、
馬連3760円の決着となった。

ダービーの1、2着馬は
どちらも2走前に重賞を勝っており、
絵に描いたような「2走前理論」の決着となった。

もちろん、私は……
シェーンヴァルトの複勝で勝負でした……。
まったくもって、ダメですな……。


やや強引に気分を改め、
今週からは別の馬券術に取り組んで行きたい。

宝塚記念は残っているが、
今週末の安田記念を終えれば春競馬も一段落。
福島や札幌の開催もスタートし、
夏のローカルシーズンに突入する。

ローカルでは芝1200mのレースが多く組まれる。
そのタイミングを考えれば、
『プロ馬券師土方吾郎が千二でしか勝負しない理由』
『プロ馬券師土方吾郎が毎年確実に大儲けする理由』(いずれも白夜書房)
などの著書がある土方吾郎氏の馬券術が、
ちょうどいいのではないだろうか。

「勝ち組」の馬券師には、
同じ条件のレースだけを買い続ける人が少なくない。
土方氏はその最たる例と言っていいだろう。

馬券好きとしては、自信があろうがなかろうが
(自信があれば当たるのか、はさておき)、
目の前のレースについ手を出してしまうのは、
仕方ないところではある。
そして、一発逆転を狙った最終レースで、
立ち直れないダメージを負ったりする。

馬券上手はそんな愚かな行為を決してしない。
ダラダラと資金を目減りさせることなく、
確信を持ったレースに大量に注ぎ込む。
そして、大口の配当を持ち帰る。
ビジネスで「選択と集中」などというが、
勝負レースの選択と資金の集中、
その見極めが人並み外れてうまいのである。

土方氏におけるレースの選択とは、
「1200mしか買わないこと」である。
そのメリットを以下のように述べている。

・レースが多く、スケジュールが一定している。
自然と出走馬のローテーションが決まってくるため、
時期的な傾向などの「波」を予測しやすい。

・前に行かないと良い着順が取れないが、
多頭数のレースがほとんどで
スタート直後から各馬が先団に殺到するため、
必然的に枠の内外で走る進路が限られる。
したがって、どの進路を走れば好走できるのか、
その馬の好走パターンを読みやすくなる。

・ほぼすべてのレースでハイペース。
長距離戦のようにスローペースの可能性を
考える必要がない。
また、テンのスピードがない馬や
スローペースに向いた馬などを
簡単に消すことができる。

理由はまだまだあるようだが、
あまり書き連ねてもしかたないので
このあたりにしておく。
確かに、いずれも理にかなっている。

私などは、
「スローになったら……」
「もし、ハイペースになれば……」
など、予想の段階で思いめぐらせるのが好きなので、
長距離戦のほうが楽しみだ。
しかし、それは馬券好きではあっても、
勝負師としてはまるで失格。
どうりで、短距離戦で負け続けるわけだ。

著書を拝読した限り、
土方氏の予想は決して簡単なものではない。
それこそ体当たりで臨んで、
そのエッセンスをすこしでも多く
吸収できるようにしたいと思っている。


土方理論を参考にした予想は
ひとまず来週からとして、
自分自身のダメなところを浮き上がらせるためにも、
今週は自分の予想で1200m戦に挑んでみたい。

予想するのは。土曜中京メイン・飛騨Sである。
私などは
「準オープンのハンデ戦」と聞いただけで
すでに当たる気がしないのだが、
ここはメジロシリングで一発を狙いたい。

一発を狙う、と言っている段階でダメな予感満載だが、
わずか4走前には同級で2番人気に支持されていた馬。
最近は凡走続きではあるが、
2年前ではあるが同条件のトリトンSを勝つなど、
中京芝1200mで3戦2連対とコース実績もある。
叩き2戦目の変わり身に期待だ。

自分では予想しないほうが、当たるのでは…
出川塁(でがわ・るい)

1977年熊本県生まれ。出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。『競馬最強の法則』『サラブレ』を中心に寄稿。得意ジャンルはデータ解析。メインとする競馬のほか、サッカーでも活動中。

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