馬券術どおりに買ったら、こうなった。

おでんでいえば、固い大根のような予想

先週は2鞍予想して2勝1敗。
例によって、その回顧からはじめたい。

まず、カンナSは
名前を挙げた3頭のうちの2頭のワンツー決着となった。

出遅れが怖いとみていたノーワンエルスは
地力の高さで勝ったものの
やはり今回もゲート難を見せたし、
今の馬場状態ならサクラバクシンオー産駒の
スピードが活かせるとみていたダイワナイトも
2着に好走した。

このように
予想の大筋としては間違っていなかったという点で
満足のいくレースではあったのだが、
最終的に本命視したスギノブロッサムが
6着に敗れてしまったのでは、まったく意味がない……。



ちなみに、PATでスギノブロッサムの馬券を買うときに
途中でエラーが発生したので再度投票したところ、
2度目の投票後に表示された残高で
どちらも受け付けられていたことが判明。

もともと
「出遅れさえなければ一番強いのはノーワンエルス」
と思っていたので、
勝負できるレースではなかったのだが、
想定外の金額を投入することになってしまいました……。

私の場合、
PATで馬券を買うとゲーム感覚になってしまって、
お金を賭けている意識が薄れてしまうことが
これまでの経験で痛いほどわかった。
そのため近頃は、
PAT口座に入金するときは
「今週の予算はこれだけ!」と決めて
それ以上は追加しないようにしている。

だから、土日でも追加入金できる
即PATが誕生したときも加入しなかったのだが、
最近では即PATに加入していなくても
インターネット口座さえ持っていれば追加入金できる
「ペイジー」などという手段もあって、
危ないことこの上ない。

それはともかく、
購入できる上限が決まっているなかで
こういうミスが発生するのは痛恨なのである。
まして先週は3日開催。
土曜に負けすぎてしまっては
月曜を待たずにパンクしてしまう可能性もあり、
早くも厳しい戦いを強いられてしまうことになった。

また、競馬場やウインズで馬券を買うときも
マークシートの記入ミスや
締め切りに間に合わなかったときなどは
「ああ、今日はツイてないのか」と思って、
その後は購入金額を下げるようにしている。

だから、
カンナSの結果、勝ち時計を見て、
「今週も高速馬場だから
軽快なスピードを持つ血統が有利」
ということを確認できても、
先週予想したもうひとレース、
セプテンバーSのショウナンカザンには
たったの1000円しか張れなかった……。
1番人気なのに……。



バクチとしては大惨敗に終わった
先週の中山芝1200m2レースだが、
予想に関しては手応えをつかむことができたので、
今週こそ馬券で幸せを噛みしめたいところである。

土曜中山の芝1200m戦は
第5Rの新馬戦と第9Rの汐留特別である。

夏のあいだに生育した野芝のみで行われ
年間でもっとも速い馬場コンディションとなる4回中山だが、
3週目ともなるとさすがに時計が落ちる傾向にある。

昨年の例でいえば、
開幕週に行われた1000万下の芝1200m戦である
初風特別の勝ち時計が1分7秒6。
これが同条件の第3週に組まれた勝浦特別になると
1分8秒4とコンマ8秒遅くなっている。

また、上がり3Fの時計を見ると、
前者が34秒4なのに対して後者は35秒0。
つまり、開幕週に行われた初風特別には
軽快なスピードと切れ味を持った馬が向き、
第3週の勝浦特別では
終まいに粘れる脚を持った馬に向いたレースになった
と考えられるのである。

そして、
この開催の中山の芝は第2週までが特殊な状態で、
第3週以降は本来の状態に近づいてくる。
であれば、土方氏の狙い目である、

・距離は1200だが、平坦1200よりも粘り強さが求められる。
1300ぐらいのイメージで!
・人気も穴も内枠ほど狙いやすい。
・外に人気馬が揃っていれば、チャンス倍増!

が活きてくるのではないだろうか。

また、こういった馬場になってくれば、
先週の予想で書いたように、
芝でもダートでも走る血統の馬に
有利になってくるはずである。

……とは思うのだが、
今年の夏の小倉が最終週まで時計が落ちなかったように
JRAの馬場管理技術は年々向上している。
今週も高速馬場となる可能性も考慮して両面作戦でいきたい。

つまり、第5Rの新馬戦で勝ち時計を見て、
先週までと同様の高速馬場であればスピードタイプの先行馬、
普通の中山の馬場に近いと判断できれば
ダートも走れるような血統の馬(できれば内枠)、
そんな狙いでいきたい。

まず、高速馬場前提とした場合だが、
これといった時計を持った馬がいないのが難点。
そんなときにこそ用いたいのが、
その馬の潜在的な適性を計ることのできる
「血統」というツールなのである。

まず目につくのがメジロアリエル。
持ち時計がないのはこの馬も同様だが、
これまでの芝1200m戦の出走が
洋芝の札幌や函館に限られており、
1回だけ出走した福島でも重馬場にたたられた。
父がサクラバクシンオー、
母が短距離重賞2勝のメジロダーリングであれば、
高速決着に向かないわけがない。

あるいは、
アグネスタキオン産駒のセンシュアルドレス。
近走は超スローペースで届かなかったり、
重馬場だったりで持ち味を発揮できずに
人気を裏切るレースが続いているが、
久しぶりの1200m戦で切れ味が活きる展開になれば
おもしろい存在になるような気がしている。

一方、
ダートでも走る血統に向いた馬場になったときは、
フレンチデピュティ産駒のレッドリップス。
最近はダートで安定した先行力、そして結果を残しているし、
芝でも連対例がある。
ただ、揉まれ弱いところがあるようで、
内枠に入ったときは無理気味に先行するため
しまいの脚が鈍くなる傾向がある。
そして、今回は1枠1番。
すんなり先行できるかどうかがカギだろう。

穴なら、
前走で地方で勝ち上がって中央に再転入してきた
スウェプトオーヴァーボード産駒のメリトゥムでどうか。

中央では勝ち上がれず
地方でも凡走を繰り返していただけに
まったく人気はなさそうだが、
地方時の戦績を確認してみると
負けたレースはすべて1500m以上。
初めて1400mを使われた前走で
あっさり勝ち上がっているところを見ると、
明確に距離の壁があるタイプなのではないだろうか。

もともと中央の新馬戦で1番人気2着した馬なのだから、
素質がないわけではない。
複勝で少額だけ押さえておいても損はないはずだ。

おでんでいえば固い大根のような
煮え切らない予想になってしまって
申し訳なくもありますが、
新聞のように印を打つ予想ではないからこそ
できることでもあるのではないでしょうか。

明日の馬場状態に応じて、
柔軟に対応していきたいと思っております。

自分では予想しないほうが、当たるのでは…
出川塁(でがわ・るい)

1977年熊本県生まれ。出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。『競馬最強の法則』『サラブレ』を中心に寄稿。得意ジャンルはデータ解析。メインとする競馬のほか、サッカーでも活動中。

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