馬券術どおりに買ったら、こうなった。

千二マスターへの道は険し

先週のさくらんぼ特別で指名した
ターニングポイントは4番人気4着。
地味というかなんというか、
思い切った穴馬を狙ったわけでもなく、
思い切った惨敗というわけでもなく、
微妙にコメントしづらい感じではある。

レース後に気づいたことなのだが、
この馬の好走は真ん中より外の枠に入ったときに
ほとんど集中していた。
内枠からの好走は
2枠2番から勝った未勝利戦だけで、
このレースではハナに立って逃げ切っている。
クラスが上がってから3着以内に入ったレースのうち
もっとも内の枠だったのが4枠7番。
連対に限れば10番枠から外しかない。

つまり、
土方氏の言う「好走パターンが決まった馬」
だったわけだ。
このことにさえ気づいていれば、
1枠1番のさくらんぼ特別で単勝を買う手はなかった。
1200m戦で1枠1番から
外に持ち出すのはほぼ不可能だからだ。

レース後の後藤騎手のコメントにも
「ハミ受けの良くない馬で
微妙なコントロールが利かない」とあった。
こうした難しい面がある馬だけに
内枠ではあまり結果を残せないのだろう。

馬券術どおりにと言いながら、
前回は土方氏の術の上っ面をなでただけだったようだ。
もちろん、いきなりすべてをマスターできるとは思わないが、
今後は、本命に抜擢した馬の枠順別成績にも
しっかりと気を配るように心がけたい。
それができれば、
今回の馬券術を実践するうえにおいて
ターニングポイントとなるのれはないだろうか。

もうひとつ思ったのが、
開幕週の土曜日というのは
勝負には出づらい条件だな、ということだった。

普通に考えれば
逃げ・先行馬が有利なのだろうし、
そういう結果も多かった。
それでも、本当に前残りなのかどうかは、
レースを見てみなければわからない。
かといって、実際に確認しても、
「開幕週=前残り」ということは
誰もが考えつくことなので、
逃げ・先行馬を狙ってもオッズの妙味は
あまりないだろう。

むしろ、開催が進んで
外差しが決まりはじめる瞬間を
しっかりと見極めること。
あるいは、
馬場が荒れても実は前残り
それが1200m戦のみを買い続ける者に
課せられたテーマなのではないだろうか。

今週も土曜福島で勝負だ。
メインに組まれているのは
1600万下の一戦、テレビユー福島賞。
狙うは4枠8番のシャペロンルージュだ。

過去の戦歴で目につくのが、
福島芝1200mで2戦2勝という
コース巧者であること。

1000万下を卒業した3走前も
このコースの河北新報杯だった。

そして、この馬も「好走パターンが決まった馬」で、
内枠では買えず、
馬券絡みは4枠から外のときに限られている。
もちろん、今回は好走可能な4枠に入っている。

近2走は15着、7着。
着順だけを見れば準オープンでは家賃が高い
という印象だが、
昇級初戦となった2走前は
休み明けで距離も未経験の1600m。
これでは大敗もやむを得ず、
不利な条件が重なったなかで
勝ち馬から1秒差なら大健闘と言えるぐらいだ。

1ハロン短縮の前走では
勝ち馬との着差を0秒6差にまで縮めて確実に前進。
クラス慣れも見込めるし、
走りごろの叩き3戦目。
なにより自身にとってベストの条件なら
さらに上昇してもなんら不思議はない。

前走の重賞でも2番人気に推された
アルティマトゥーレはさすがに強そうだし、
ローカルの1200mでは3戦すべて連対と
ちょっとつけいる隙はないかもしれない。
だからといって、
ここで欲をかいて馬連や馬単などに手を出すと
手痛い結果になるのは目に見えている。

単複派の初志貫徹、
シャペロンルージュの複勝一点で勝負だ。

自分では予想しないほうが、当たるのでは…
出川塁(でがわ・るい)

1977年熊本県生まれ。出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。『競馬最強の法則』『サラブレ』を中心に寄稿。得意ジャンルはデータ解析。メインとする競馬のほか、サッカーでも活動中。

バックナンバー