馬券術どおりに買ったら、こうなった。

「前走6着馬」のグランプリ制覇に思う

2010年の総決算となるグランプリ、
有馬記念を勝ったのはドリームジャーニーだった。
朝日杯を勝った2歳から第一線を走り続けて、
5歳の暮れにまたG1を勝つのは大変な偉業だと思う。

あくまで個人的な考えにすぎないが、
私は「チャンピオンのピークは長くて2年」だと思っていた。

たとえば、テイエムオペラオー。
5歳春に天皇賞(春)を勝って新記録のG1レース8勝にリーチをかけながら、
次走の宝塚記念から有馬記念までG1を4戦して
すべて1番人気に推されたものの、結局勝てなかった。
最初にG1を勝った3歳春の皐月賞から
最後にG1を勝った5歳春の2回目の天皇賞(春)までをピークと思えば、
その間は約2年である。

たとえば、グラスワンダー。
2歳暮れの朝日杯で「マルゼンスキーの再来」と言われ、
4歳暮れの有馬記念でスペシャルウィークとのデッドヒートを制した。
ところが、5歳の春シーズンは燃え尽きたかのように精彩を欠き、
宝塚記念のレース中に故障を発症して引退を余儀なくされた。
最初のG1勝ちから最後のG1勝ちまで、
これもまた約2年である。

ひとつ勝つのですら簡単ではないのがG1。
勝てる力があると言われた馬が、
とうとう勝てずに引退してしまうのがG1。
完璧に仕上げて、それでも負けるのがG1。
ダービーを勝って燃え尽きてしまうような馬が少なくないのは
みなさんご存じのとおりである。

ところが、ドリームジャーニーは、
最初のG1勝利から(いまのところ)最後のGⅠ勝ちまで約3年。
そして、同期の2歳牝馬女王だったウオッカも
昨年のジャパンC制覇まで約3年にわたってG1を勝ち続けている。
同じように、8歳秋にしてG1を連勝した。

テイエムオペラオーやグラスワンダーといった
2000年前後のチャンピオンを見て
「チャンピオンのピークは長くて2年」と考えるようになったのだが、
10年経って、競馬が変わってきていることを強く感じさせる、2009年だった。

ちなみに、前回の更新では触れなかったが、
ドリームジャーニーは有馬記念出走馬のなかで唯一の「前走6着馬」だった。
だから、大いに気になりながらも、
「前走ダート」を満たさないので買えなかったんですけどね。

さて、昨年最後の予想で推奨した7頭のうち、
日曜の阪神5Rでアレックスバローズが勝ってくれた。



7頭推奨して1勝だけなので、大したことなく思われるかもしれないが、
今回はあくまで回収率ベースで戦っている。
アレックスバローズの単勝は1210円つけてくれたので、
この週末だけでいえば十分にプラスである。

残念ながら、年が明けて金杯が行われた1月5日は、
東西で該当馬が計4頭いたのだが、これは全敗。
それでも、このシステムで買った馬券は、
単勝回収率105%でプラス収支を計上している。

買い始めて数週の段階ではあるが、
しっかりした根拠に基づいて算出したデータが
いかに頼りになるか、改めて驚いているところである。
なにせ、パドックや返し馬が見られないのは当然のことながら、
金曜の執筆時点では、日曜のレースは(重賞以外)枠順すらわからないのだから。

なお、先ほどの単勝回収率105%は推奨馬全馬を買った場合の数値だが、
3回前の更新(「狙うのは、ズバリ」)で、
「当日1~3番人気に推された場合は単勝回収率75%どまりなので、
ここは避けたいいかもしれない」
と述べた。
そして、実際に買ってみて、
やはり当日1~3番人気の馬は結果を出していない。
これまでは推奨馬をすべて買っていたが、
今後は、当日1~3番人気に推された場合は、購入を見送っていこうと思っている。

これを踏まえて、今週も

・前走6着
・前走着差1秒未満
・前走1700m以上
・前走ダート

の条件で買っていきたい。

……と思ったのだが、
今週末は3日開催にもかかわらず、意外なほど該当馬が少なかった。
なんだか申し訳ないです……。

●今週末の該当馬

【土曜】
中山、京都ともに該当馬なし

【日曜】
中山、京都ともに該当馬なし

【月曜】
中山6R……スリーサンカリスマ
京都2R……ミゲール

・先週までの回収率(全推奨馬の単勝を同額で購入)……105%(26戦2勝)

自分では予想しないほうが、当たるのでは…
出川塁(でがわ・るい)

1977年熊本県生まれ。出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。『競馬最強の法則』『サラブレ』を中心に寄稿。得意ジャンルはデータ解析。メインとする競馬のほか、サッカーでも活動中。

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