酔いどれ対談
第22回
ロンシャンに架ける夢(番外編)
 

 

アガ・カーン殿下の生産繁殖馬と
ディープインパクトの“夢の配合”
さて、可能性はどこまで拡がるのか?

駿

山本オーナーが夢を託したマンダララと
ディープインパクトの配合、
最初の年は残念ながら流産してしまったが、
ことしは執念が実って、牡駒が誕生した。
ヨーロッパ最強牝馬のマンデシャの半弟で、
しかもディープをつけることで彼女と
非常に近似したニックスを持つことになった。
夢が膨らみますね。

まだ当歳ですから、
デビューまで早くても2年以上あります。
これからどんな風に成長してくれるのか、
夢を膨らませるのは少々早すぎますよ(笑)。

駿

ところで、ディープの初産駒は
来年の2歳ということになるんですけれども、
種牡馬としての彼の評価は未知数です。
期待された種牡馬が案外に終わったり、
それほどでもなかったのに、いざ使い出してみたら
重賞勝ち馬を続々と輩出したり、
人間の小ざかしい思いを軽々と
超えるようなところがあります。
配合の神秘といってもいいかもしれません。
しかし長年競馬を見てきた私の勘ですが、
ディープインパクトにはとんでもない大物を
出しそうな予感はあります。
それが山本オーナーのマンダララの仔で
あるかどうかは、私にはわかりませんが。

ハッハッハッ(笑)。
そうですね、アガ・カーン殿下のように
狙って当てるというのは無理ですね。


 

駿

げすの勘ぐりと思っていただいていいんですが(笑)、
あのアガ・カーン殿下にして、
やっていることは山本オーナーと同じで、
仮説を立て、実験して、
その結果を検証してみるという繰り返しで、
失敗もずいぶんと多かったと思いますよ。

それはそうだと思います。
でも殿下と私では仮説のレベルも違えば、
やっている実験の質も量も月とスッポンです。
比較すること自体が失礼ですよ。

駿

山本さんも牧場をやればいいんですよ。
オーナーブリーダー、こういう人たちが増えると、
日本の競馬もグーンと深みを増すと思いますね。

いやいや、とんでもありません。
そんな力や知恵はとてもありません。
私が自家繁殖馬を持つのは、
そういうところに理由があるわけじゃありませんから。

駿

といいますと?

たとえばキングマンボにこだわっている
というお話をしましたが(第16回参照)、
彼は高齢のせいか種付け数が年々減っています。
産駒がセリに出てきても、
ゴドルフィンとかアラブ勢を中心に
競りまくるから非常に高額になってしまいます。
とても買えませんよ。

駿

なら、自分で自分の繁殖につけようと
発想の転換をしたわけですね。

そういうことになりますね。
まぁ、権利を手に入れるだけでも大変なんですが、
みなさんの応援をいただきながら
細々とやっていますよ(笑)。

駿

そうした山本オーナーのチャレンジには
藤澤和雄調教師のジャッジというか
アドバイスも相当に大きくて
深い影響力を及ぼしているわけですね。

はい、間違いなくそうです。
藤澤先生と私とは“夢のパートナー”だって、
勝手に思っています。
私の夢は先生の夢だし、先生の夢は私の夢、
それくらいの思いがあります。

 

(あしたにつづく)

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