酔いどれ対談
第39回
余暇の時代、そして競馬(7)
 

 

余暇の時代
競馬はどう変わっていくのか
おふたりが熱く語り合います

駿

ところで山本さん、
人が自分の自由にできる時間が増え、
そこを充実させるために余暇のあり方、
その質が問われる時代になっているわけですが、
そうした中で競馬ってのは
どんな変化をしていくんでしょうかね。

競馬の良さは人と人が、
たとえ見知らぬ仲であろうと、
つながりあえたりするところにあるんじゃないでしょうか。


 

駿

つながりあえる?

たとえば競馬新聞を読んで勝ち馬を推理する、
そして1枚の馬券を買う。
たったそれだけのことですが、
その背後には馬を生産した
牧場の人たちの願いが潜んでいたり、
育成で苦労した方々のホロ苦い思い出があったり、
調教師や調教助手や厩務員の愛情が息づいていたり、
騎手の並々ならぬ思いがかけられていたりします。
そういういろんな思いがつながりあって
競馬が成立していると思うんです。
そこがわかっていないと推理の面白さも半分ですよ。

駿

そうそう、まったくそのとおりですね。
私の予想の原点は走らせる側の論理で考えることだ
って先ほどいいましたが(第8回参照)、
いろんなホースマンたちの思いを知らないことには
予想はできません。
人間心理の綾とか人情の機微とかを読めないと
競馬は面白くありませんね。

私はヨーロッパのホースマンから
競馬というものは馬の勝ち負けだけじゃなくて
人間としての誇りが試され、
そこで自分が人間として成長していくことができる
素晴らしいスポーツなんだと教えられました。
藤澤和雄先生からは人間の都合だけじゃどうにもならない
ホースマンシップのあり方を学ばせてもらいました。
こうした人と人とのつながりが、
私が競馬を通じて得ることができた
最高の財産だと思っています。

 

(あしたは最終回を掲載します)

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