酔いどれ対談
第20回
ロンシャンに架ける夢(中編)
 

 

凱旋門賞の日のロンシャン競馬場で
山本さんを“一目惚れ”させた牝馬のオーナーは
アガ・カーン家の王女だった!
ここから数奇な運命に操られた物語がはじまります。

駿

いくら気に入っても相手がアガ・カーン殿下では、
さすがの山本さんもどうしようもない(笑)。

そうなんですが、運命というか、
人間もそうですが馬の一生もわからないものです。
ある日、マンダララがドーヴィルの繁殖セールに
上場されるという情報を聞いたんです。

駿

憧れの恋人が手に入れられるかもしれない(笑)。

いろいろ調べてみると、
王女のプリンセス・ザーラがお小遣い稼ぎなのか(笑)、
マンダララをトルコ人のオーナーに売却していたんですね。


 

駿

マンデシャが大活躍したので、こちらを残せばいいか、
そんな発想なんでしょうかね(笑)。

それでトルコ人オーナーは
自国の活躍馬で快速血統のディニーパーを
マンダララにつけたんですね。この時点では、
まさか自分の手に入るとは思いもよらないことでした。

駿

ところがマンデシャが走りはじめた。
先ほど話のあったオペラ賞まで
実にG1を3連勝してしまった。
しかも快速血統にもかかわらず、
2400mのヴェルメイユ賞でも
圧倒的な底力を見せつけた。
さすがアガ・カーン殿下の生産馬、
さぁ大変だ、とマンダララの血統価値が
大ブレークしたわけですね。

さすがカリスマ予想家ですね、
ものすごい推理力です(笑)。
全部おっしゃるとおりです。

駿

いやいや恐縮です(笑)。
そのトルコ人オーナーは、
いまが売り時と考えたんでしょうな。
それで繁殖セールに上場されることになったんですね。
でも、セリは大変だったでしょう。

はい、最後は結局、
私とクールモアの競り合いになりました。
決着してみたら、
ドーヴィル繁殖セールのレコード価格でした。

駿

ウーン、山本さんも山本さんだが、
クールモアもクールモアだ(笑)。
当代一流のホースマン同士をレコード価格が出るまで
競り合わせたマンダララという1頭の牝馬に、
どんな魅力があったんだろう。

クールモアがどんな思惑だったかは
私にはわかりませんが、
世界の最先端を行く超一流の牧場ですから、
間違ったことは考えていないと思いますよ。

駿

その世界の最先端、超一流と争ってまで
手に入れようとした山本オーナーのこだわりは
どこにあったんですか。

それはやはりマンダララという血統を
初めて目にした凱旋門賞の日のロンシャンに
遡ることになりますね。

駿

ホーッ、すべてはロンシャンにあったと…。

 

(つづきは27日(月)にお送りします)

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