駿

山本オーナーが世界をめざす秘密兵器として
注目したキングマンボ、
どんな仔がいますか？

俊

最初は、もう5歳になるんですが、
タイガーマスクという馬を走らせました。

駿

あぁ、チャリティホースとして
話題になった仔ですね。

俊

はい、そうです。
でも残念ながら、
彼はノド鳴り持ちでしてね。
それに屈腱炎を患っていて、
思うように走れませんでした。

駿

しかし、彼が稼いだ賞金を全額、
恵まれない子供たちに寄付してしまう
というオーナーの発想はすごいね。
こういった斬新なアイデアを
出してくる人って見たことがないから、
ビックリさせられましたよ。
いろいろな馬主さんも、
それぞれに社会貢献しているんだろうが、
その社会貢献自体を楽しいエンタテインメントに
してしまうという発想が面白いですよね。
競馬のイメージアップにもなって、
一石二鳥というと軽くなるけれど、
素晴らしいアクションだったと思います。

俊

そうおっしゃっていただけると、
うれしいですね。
でも私だけじゃなく、
藤澤先生や騎手のみなさんも
快く協力を申し出てくれて、
競馬サークルあげてのチャリティ
みたいな感じになったのが、
もっとうれしかったですね。

駿

そういうアイデアを考えついたのは
デビュー戦のときですか。

俊

いえ、アメリカで購入した時点で決めていました。
それですぐに向こうで馬名登録しました。
タイガーマスクというプロレスラーが
死闘を繰り返しながら、
そのギャラを孤児院の子供たちのために
寄付しつづけるってストーリーの
マンガがあるんですが、
それでタイガーマスク（笑）。
日本だと商標の関係で
受け付けてもらえないんで、
向こうでやったわけです。

駿

なるほど、
もう買ったときからチャリティホース
として走らせることに決めていたんだ。
でも安い馬じゃないですよね？

俊

はい、私が購入した馬の中でも
高いほうでしょうね。

駿

山本オーナーの持ち馬は
超の字がつく高額馬ぞろい、
その中でも高いほうだ、と。
それをポンとチャリティに
提供しちゃうというのは、
もうたまげるしかないですね。

俊

でも先ほどご説明したように、
思うように走れなくて、
なんか期待を裏切っちゃったみたいで
申し訳なく思っています。

駿

でも、まだ現役なんでしょう。

俊

はい、休み休みにしか使えないんですが、
まだ引退させるつもりはないですね。

駿

公営を含めてダートでは
3戦3勝と底を見せていません。

俊

そうですね。
まぁ、いずれは地方の交流レースに出して、
その地域地域の子供たちに
タイガーが寄付してくれたらいいなぁ、
なんて考えていました。
まだ、交流レースに招かれるような
身分じゃないんですが、どういう形であれ、
そうした夢を実現させたいと思っています。

駿

頑張れば頑張るほど子供たちが喜ぶし、
沈滞気味の地方競馬の活性化にもつながる。
ぜひ、実現してくださいよ。

俊

はい、タイガーマスクに頑張ってもらいますよ。