酔いどれ対談
第14回
世界は見えてきたか(中編)
 

 

求める血は、
日本で走り、ヨーロッパで走る全能の血!
山本英俊オーナーの奮闘がつづきます。

駿

山本さんが目をつけたキングマンボ、
これは慧眼(けいがん)ですね。
素晴らしい洞察力、立派な見識です。

そんなにおっしゃられたら、
恐縮しちゃいますよ(笑)。

駿

この大種牡馬は、初年度産駒から
エルコンドルパサーを出しました。

はい、そうでした。

駿

エルコンは、ジャパンCやNHKマイルなど
日本のG1を勝ちましたが、それだけじゃなく
フランスのG1サンクルー大賞を制覇して、
つづく凱旋門賞でモンジューの2着に健闘した。
日本の馬で凱旋門賞の栄冠に
いちばん近づいた馬です。

日本では休み明けの毎日王冠で
サイレンススズカの2着に敗れたほかは
パーフェクトでしたね。
それ以上にすごいのが、
フランスへ渡って4戦していますが、
G1サンクルー大賞、
凱旋門賞トライアルで有力馬が集まる
G2フォア賞と2勝をあげ、
休み明けとなった渡仏緒戦の
イスパーン賞で2着、
そして凱旋門賞でもモンジューを苦しめました。


 

駿

そうでしたね。
日本の固い馬場でも走り、
ヨーロッパの深く重い芝でも
それ以上のパフォーマンスを発揮する、
山本オーナーが熱い視線を注ぐのも
無理はないね。
それにエルコンの母父がサドラーズウェルズ
なのもわが意を得たりの思いですな(笑)。

まぁ、
それはたまたまということでしょう(笑)。

駿

彼は早くに亡くなってしまったが、
菊花賞のソングオブウインドとか、
ダート王のヴァーミリアンなど
幅広いカテゴリーで活躍馬を残しています。
キングマンボ自身はマイラーだったが、
代が下るにつれて
チャンピオンディスタンスで強みを発揮するもの、
ステイヤーとして資質を示すもの、
さらにダートで無敵の進撃をつづけるもの、
非常にバラエティに富んでいます。

そうですね。
エルコンの1歳下のレモンドロップキッドという
アメリカの馬はベルモントSをはじめ、
G1レースを5勝しています。
日本、ヨーロッパ、アメリカ、
すべてのコースに対応できることを
証明してくれました。

駿

ことしから産駒が日本で走るアルカセットも
サンクルー大賞とジャパンCを制覇した
2頭目の馬になりました。
キングカメカメハは日本のダービーと
NHKマイルを勝って、3歳秋には
引退しちゃったから未知数ですが…。

彼がヨーロッパで走る姿を見たかったですね。
どんなパフォーマンスを発揮してくれたか…。
本当に残念です。

駿

海外挑戦というのは、
それくらい難しいということなんでしょう。
生半可な覚悟では成就しない。

そういわれると、身が引き締まる思いがします。

 

(あしたにつづく)

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