酔いどれ対談
第31回
ホースマン藤澤和雄師を語る(9)
 

 

名伯楽・藤澤師にして日本ダービー未勝利の現実
厩舎スタッフに負担を強いる海外遠征、
山本オーナーは
この上なお海外にこだわるのか?

厩舎スタッフのことを考えれば、
進上金は重要な収入源のひとつですから、
勝てるレース、
それも賞金はできるだけ高いほうがいいのは
当たり前の話です。
今回のアメリカ遠征にしても
葛西さん(調教助手)、手島さん(厩務員)には
言葉に現せないほどお世話になりました。
今度、開業する尾関さん(知人調教師)まで
帯同してくれました。
青木くん(芳行騎手)は付きっ切り、
北村くん(宏司騎手)も日米を往復しながら
追い切りのたびに駆けつけてくれました。

駿

それに海外遠征ともなれば、
日本に残るスタッフにも少なからぬ負担がかかる。
遠征組みの分までやらなければならない。
加えて藤澤厩舎の
押しも押しされぬ番頭格の葛西さんや
大ベテランの手島さんが抜けるのは
人数だけの問題じゃないね。

ご指摘のとおりだと思います。
私のわがままで
みなさんに大変な負担を強いているんだなぁ、
そういう申し訳ない気持ちは
いつも心のどこかにありますね。

駿

そういう厳しい現実がある一方で、
行ってみなければわからない
海外競馬のリアルタイムなあれこれを、
山本さんの向こう見ずのお陰で
経験でき蓄積できる。
藤澤厩舎のスタッフも、
そこに意気を感じて
損得抜きでやってくれているわけですよね。

はい、もう頭の下がる思いです。

駿

そういったことの全部をひとつひとつ考えながら、
山本オーナーと藤澤調教師は
眼と眼で壮絶なバトルをやっていた。
考えてみれば凄いことですよ(笑)。
傍から見ると和やかな空気も漂う
ニューヨークのレストランかなんかで、
周囲のスタッフに気を遣って顔こそ笑っているが、
腹と腹の中では
歯に衣着せぬ本音をぶっつけあっていた。
その結果、雨降って地固まる、
海外挑戦への志は
さらに深いものになったんですね。

もう成駿さんの想像力には
恐れ入るばかりです(笑)。

 

(あしたにつづく)

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