海の向こうの競馬、そしてホースマン

第19回
駅のそばのアパルトメントを購入した仏の港町ドーヴィル
 

グッドウッド競馬場からドーバー海峡を越えると、
フランス北西部の港町ドーヴィルにたどり着きます。
この街には、1864年に開場した歴史ある
ドーヴィル競馬場があり、格式高いマイルGⅠ戦
ジャックルマロワ賞などが行われています。
そして、このドーヴィルは、
合田さんが頻繁に訪れる街でもあるのです。

「もともと、毎年夏にドーヴィルで行なわれる
 セリ市のマーケティングをウチの会社で
 引き受けたことがきっかけで、
 毎年のように訪れるようになりました。
 実は、同行した妻が、とてもとても、
 この街を気に入ってしまったんですね。
 それで、17、18年前にドーヴィル駅近くの
 アパルトメントを購入しました」



「ドーヴィルの夏は、
 本当に遊びには困らないんですよ。
 競馬はドーヴィル競馬場と
 クラレフォンテーヌ競馬場の
 どちらかで毎日のように開催しているし、
 マリンスポーツやカジノも楽しめる。
 それにシーフードが抜群に美味しい。
 武豊騎手夫妻もドーヴィルは大好きなようで、
 夏になると毎年のようにお見かけしますね」

「ウチの妻も夏に1カ月間、
 ドーヴィルのアパルトメントで
 ノンビリと過ごしている。
 さらに彼女は、
 クリスマスから新年の休暇も、
 ここで過ごすことがほとんどなんです。
 一方、亭主の方は貧乏暇なしで、
 せいぜい1週間くらいしか
 ドーヴィルにはいられないんですけどね(苦笑)」

ある人に言わせると、
全体的にオシャレ度が高いフランスという国のなかでも、
ドーヴィルのオシャレっぷりは群を抜いているそうです。

「たしかに、
 玄関口であるドーヴィル駅の佇まいからして、
 相当にオシャレな街であることは確かですね。
 ジャックルマロワ賞やモーリスドギース賞など
 競馬番組も充実していますし、
 日本の競馬ファンも一度は訪れる価値がある
 場所だと思います。
 ただ、以前はパリに比べると
 物価が安かったりしたのですが、
 現在はほとんど変わらなくなってしまった。
 それに、プライドが高いフランス人が多くて、
 英語がほとんど使えないのも
 不便と言えば不便かもしれません」

「でも、さきほども言いましたが、
 楽しみがたくさんある、
 素晴らしい街であることは間違いない。
 ぼくも、もう少し長く居られたらいいのになと、
 いつも思っているのですが…」

(第20回に続く)

構成・文/関口隆哉

 

合田直弘氏 プロフィール

1959年東京生まれ。慶応普通部(中学)時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶応大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。

 

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