海の向こうの競馬、そしてホースマン

第18回
ヨーロッパ競馬で味わえる馬と観客の"近さ"
 

イギリスの競馬場は、
昨2008年に新設されたものを含めて、
全部で60場。
さすがの合田さんも、
実際にレースを見に行ったのは、
そのうちの半分強といったところだそうです。

そして、
エプソムやアスコットといったメジャーな競馬場も、
もちろん素晴らしいけど、
ちょっとマイナーな競馬場に足を運ぶことを
合田さんは推奨しています。

「イギリス、そしてヨーロッパの競馬場に、
 すべて共通することではあるのですが、
 馬と観客の距離感というものが、
 日本の競馬場とは比べものにならないほど近い。
 特にちょっとマイナーな競馬場の距離感の近さ
 というのは、半端ではないんですね」

「馬の通路と観客席を隔てるための
 柵なんてものはありませんから、
 まさに観客のすぐ脇を突っ切って、
 馬たちがパドックから本馬場に
 移動したりするわけです」

「レースが終った後も、
 やはり馬たちは観客のすぐそばを通って、
 厩舎へと帰っていく。
 レース後の湯気をもうもうと立てた馬たちが、
 すぐそばを通り抜けていく迫力というか、
 ライヴ感は、日本の競馬場では、
 絶対に味わえないものですよね。
 “馬の体温を実感する”ということが、
 イギリスの、そしてヨーロッパの
 競馬場では可能なんです」

「馬だけでなく、
 ジョッキーと観客の距離感も、
 かなり近い。
 これは、
 イギリスの競馬場で体験したことなのですが、
 ぼくらが食堂でご飯を食べていたら、
 すぐ隣のテーブルで、
 その日のレースに騎乗している
 マイケル・キネーンが
 ノンビリと食事をしている(笑)」

「騎手を完全に隔離してしまう日本の競馬場では、
 絶対にあり得ない光景ですよね。
 こういった距離感の近さは、
 日本とイギリスの“競馬文化”の
 成熟度に起因していることは、
 間違いのないところかもしれません」

(第19回に続く)

構成・文/関口隆哉

 

合田直弘氏 プロフィール

1959年東京生まれ。慶応普通部(中学)時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶応大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。

 

バックナンバー