海の向こうの競馬、そしてホースマン

第23回
アメリカ文化を体現しているサラトガ競馬場
 

西海岸がデルマー競馬場なら、
東海岸いちばんのオススメとなるのが、
ニューヨーク州郊外にあるサラトガ競馬場だと、
合田さんは言います。

「サラトガという街は
 ニューヨーカーたちの避暑地で、
 有名な“サラトガスプリング”がある土地です」

「サラトガ競馬場は、
 1863年に開場した由緒正しい競馬場で、
 そのスタンドは、
 たぶん米に現存する最古のものだと思います。
 建物も西部劇風の造りで、
 高い天井で回っている扇風機が、
 なんともいい味を出している」



「ヨーロッパの古い競馬場とは、
 また趣が違いますが、
 アメリカという国の文化を体現しているのが、
 このサラトガ競馬場と言えるかもしれませんね」

余談ですが、
ノーベル文学賞を受賞した米の
大作家ジョン・アーンスト・スタインベックも、
サラトガ競馬場を舞台にした短編小説を書いています。

さて、サラトガ競馬場の名物レースと言えば、
“真夏のダービー”とも呼ばれる、
3歳限定G1戦トラヴァーズS。

「トラヴァーズSでは、
 近年もポイントギヴン、
 メダグリアロード、
 ストリートセンスといった
 世代のトップクラスが勝ち馬に名を連ねています。
 このレースに合わせて、
 夏休み米競馬ツアーのスケジュールを
 立てるといいでしようね」

「それから、サラトガには
 全米競馬博物館もあります。
 こちらの方も、競馬ファンなら、
 まさに“必見”ですよ」

明日からは、
豊富な海外経験を通じて合田さんが実感してきた、
日本と欧米との「競馬文化の違い」について
話を進めていきます。

(第24回に続く)

構成・文/関口隆哉

 

合田直弘氏 プロフィール

1959年東京生まれ。慶応普通部(中学)時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶応大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。