海の向こうの競馬、そしてホースマン

第17回
夏場の英国で行なわれる薄暮競馬は一見の価値アリ!
 

狭い範囲にたくさんの競馬場が存在することも、
イギリス競馬の魅力のひとつだと、
合田さんは言います。

「グッドウッド競馬場は、ロンドン市内から
 車で2時間ぐらいのところにあるのですけど、
 そのグッドウッドを含め、
 ロンドンから日帰りで行って、
 帰ってこられる競馬場というのが、
 10カ所くらいあるのですね」



「まあ、時間とお金があれば
 という条件は付きますけど、
 7、8月のロンドンに2~3週間ぐらい
 腰を落ち着ける気になれば、
 その10カ所の競馬場は、
 ほとんど回れるのではないでしょうか」

日本でも、夏場の北海道や小倉の開催で、
夕刻のレースの始まりが通常より遅くなる、
「はくぼレース」が行なわれていますが、
本場イギリスの「薄暮競馬」は、
スケールそのものが、まったく違うそうです。

「夏場のイギリスの日の入りというのは、
 日本よりだいぶ遅くて、
 午後10時あたりになる。
 競馬場のプログラムも午後6時くらいに
 第1レースが始まって、
 10時くらいに最終レースが行われる
 というものが多いんです。
 この、暮れそうで暮れない、
 夕方の日差しのなかで
 行なわれる競馬というのが、
 本当に素晴らしい!」

「日本の大井とかで行なわれている
 ナイター競馬もいいものですが、
 人工的ではない、自然の摂理を利用した
 イギリスの薄暮競馬というのは、
 ナイター競馬とは一味も二味も違うものです。
 是非日本の競馬ファンの方々に味わって欲しい、
 ヨーロッパならではの美しい競馬ですね」

(第18回に続く)

構成・文/関口隆哉

 

合田直弘氏 プロフィール

1959年東京生まれ。慶応普通部(中学)時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶応大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。