海の向こうの競馬、そしてホースマン

第3回
心に深く刻まれた名馬たち<1>-1980年代欧州最強馬ダンシングブレーヴ(1)
 

日本きっての海外競馬通である合田さん。
そんな合田さんにとって、
心に深く残っている外国馬は、
どの馬なのかを伺ってみました。

「“最後の英三冠馬”である
 ニジンスキー(1968年生)、
 誘拐事件に遭遇して忽然と姿を消した
 英ダービー馬シャーガー(1978年生)といった、
 欧州の歴史的名馬たちは、
 残念ながらリアルタイムでは、
 観ていないんです」



「ライヴでレースを体験したということで、
 まず名前があがるのは、1986年の凱旋門賞、
 KジョージⅥ世&QエリザベスSを、
 いずれも素晴らしい末脚で制した
 ダンシングブレーヴということになります」

ダンシングブレーヴが制した1986年凱旋門賞は、
極めつけの好メンバーが揃った一戦としても有名です。
そこを勝利したことで、ダンシングブレーヴは
“1980年代欧州最高の名馬”という評価を得ました。

「この凱旋門賞では、ダンシングブレーヴと
 同じ3歳勢に、英、愛ダービー馬のシャーラスタニ、
 仏ダービー馬ベーリングらがいた。
 また、古馬陣にもジャパンCにも参戦してきた
 女傑トリプティクのほかに、
 ドイツのスパースター、アカテナンゴ、
 日本ダービー馬シリウスシンボリ、
 チリのオークス馬マリアファマタといった
 多士済々なメンバーが揃っていたのです」

まさにオールスターキャストで争われた大一番。
ここで示されたダンシングブレーヴのパフォーマンスは、
「圧巻」とも呼べる、凄まじいものだったのです。

(第4回へ続く)

構成・文/関口隆哉

 

合田直弘氏 プロフィール

1959年東京生まれ。慶応普通部(中学)時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶応大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。