知恵の言葉

前評判(展開予想)の裏に宝の山あり(中編)

ところが、展開は一方で正義の味方の月光仮面ともいえる。
つまり、展開が強きをくじき、弱気を助けるケースである。
前出の「ジャパンC」はその典型だ。
さて、展開はどう読むか?
これはたいへんむずかしい。
競馬新聞が決めるわけではもちろんない。
競馬新聞のあれは、あくまでも予想である。
「予想」を逆から書くと、「ウソヨ」だもんにィ。
それはともかく、展開予想のポイントは、どの馬が逃げるか、である。
たとえば、3歳の特別戦。
出走する全馬が1000mを1分00秒0で勝ってきたとする。
さて、どの馬が逃げるか。
能力もほぼ同じだと仮定すると、前走の勝ち方はあんまり関係ない。
どの馬も逃げられるし、どの馬も追い込んでこられるからだ。
しかし、現実のレースになると、
逃げるのは逃げて、追い込み馬は後方につけている。
専門的には、同じ1分00秒0でも、
その勝ちタイムのラップ(200mごとに要したタイム)があり、
ダッシュ力のある馬がハナを切る展開になる。
とはいえ、結局、展開は、騎手のハラひとつではないだろうか。
脚質なんていうのは、騎乗者の判断ひとつでかわるものなのである。
要は、その馬の能力をだしきればいいのだ。
ただし、逃げ馬の場合は、脚質転換はそう簡単にはままならない。
逃げ馬の脚質は、気性面からくるものだからである。
気が強い反面、小心で、とにかく1頭だけで走っていなければ気がすまない。
これをあえておさえて、好位差しなどを狙ったりすると、
馬は反抗して走る気をなくしてしまう。
こうした馬の脚質を転換させるには、直線一気の勝負しかない。
この典型的な馬がミスターシービーである。
ミスターシービーの母シービークインは、優秀な逃げ馬だった。
この血統にトウショウボーイを配合したのだから、本来は快足馬である。
事実、牧場時代からその傾向があり、
引退後、牧場関係者は、

「超一流の逃げ馬になると思っていた」

と語っていたほどだ。
ところが・・・・・

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東邦出版発行『知って得する競馬の金言』より
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