知恵の言葉

ウラ情報、知られた時点で買い目なし(後編)

もうひとつ、馬主席にとびかうウソのような本当の話をしよう。
一般の馬券ファンにとって、スタンドの下から見上げるしかない馬主席には、
「さぞかし極秘情報がとびかっているにちがいない」
と思われがちだ。
しかし、ひと口に馬主といってもピンからキリまで。
馬券を買う人もいれば買わない人もいるし、
ハズレて熱くなる人もいれば、終始おだやかな紳士もいる。
また昔からの金持ちもいれば、
なかには馬主席に似合わないコワーイ人物もいる。
競馬ファンが集まれば、
「あの馬は買い」とか「ダメ」とかいうように、
馬主席でも同じ光景がくり返される。
違うのは、出走する馬の持ち主がそばにいるということだ。
そこで、その馬主に「お宅の馬、勝てそうですか?」ぐらいのことは聞く。
聞かれたほうも「わからない」とか「調教師は勝負だと言っていた」ぐらいのことは答える。
それを聞いた馬主は自分の席に戻り、仲間の馬主とヒソヒソ話。
そして、「あの馬の馬主の情報によれば、調教師が勝負だといった」となる。
しかし、馬主情報だからといって勝負にでるとハズレ
なんのことはない、馬主だって調教師にだまされているのだ。
自分たちで勝手に情報をつくっているだけなのである。
また、馬主くらいになると、使い走りのほうも心得たもので、
顔見知りのトラックマンや知人のところをまわって情報を仕入れてくる。
そして、たとえば「○○会長のつけた印ですから内密に」などと言って
馬主にメモを渡したとする。
そうすると、馬券などいいかげんなものだから、○○会長の予想もときには当たる。
すると、「やっぱり○○会長だけのことはある」となるのは想像に難くないだろう。
ところが、あとでその使い走りにたづねたら、
「○○会長」とは知りあいの町内会長で、そのご仁のつけた印だったのだ。
馬主席でさえこんなウラ情報がとびかっているのだから、
自分のところまで飛んできたウラ情報なんか、
まず買い目はないと思ったほうが賢明だ
人面魚だって、調べてみれば鯉の問屋で1匹300円といった値段で、
山と売られていたりする。
ウラ情報なんて、そんなものなのだ。

・・・次回は「前評判(展開予想)の裏に宝の山あり」をお送りします。
火曜日の更新をお待ちください!

東邦出版発行『知って得する競馬の金言』より
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