知恵の言葉

追い込み馬のブリンカー装着は危険(前編)

パドックというのは、ある意味では馬の診察室でもある。
体型の良し悪し、その日の状態の良し悪しとともに、
その馬の病気を発見する場でもあるのだ。
そのパドックで、ファンにいちばん目につき、
馬券の上でも気になるのは、おそらくバンテージだろう。
相撲とりではないが、痛々しい印象をうける。
レース中に骨折してしまうのでは…という気持ちにかられたりもする。
「バンテージ」は多くの場合、
「この馬、脚部不安あり」のサインと見ていい。
ただし、骨折の要因にはならない。
バンテージの中でも「裂蹄バンド」といって、
蹄をきつく巻いているものがあるが、
これは蹄が割れやすいためで、「裂蹄バンド」がきかず、
レース中に血を噴きだして引きあげてくる馬もいる。
それ以外は、骨のまわりの筋肉、
腱などの保護のためにバンテージをつけることが多い。
馬の脚部の故障でとくに有名なのが、「屈腱炎」で、
これは一流馬ほどかかりやすいエリート病である。
一流馬、つまりキック力の強い馬というのは、
そのリアクションとして肉がついていない腱が痛んで膨れあがる。
その症状を「屈腱炎」というが、
海老の腹のように膨れることから、俗に「エビハラ」とよばれている。
この「屈腱炎」にかかると、競走馬にとってダメージが大きい。
トップスピードで走ることはできないし、
その個所を気にして、フットワークもバラバラになる。
おおむね競走馬として使いものにならないが、
それでも走らせる場合は、交突を防ぐためにバンテージを巻いてくる。
これは当然のことながら前肢に巻く。
後肢にバンテージを巻いている場合も、やはり交突を防ぐためだが、
こちらのほうはむしろ、弱い馬に多い。
走るバランスが悪いために交突を起こすもので、
腰の力が弱く、トモの力がついていない馬がそうなりやすいといわれている。
これらのほかに、最近はファッションの一部として
バンテージを巻いている馬も少なくない。
この場合は、4本の脚すべてに膝下まで長く巻き、
使われているバンテージもカラフルなものが多い。
もちろんこれもケガの予防には役立つわけだが、
べつに脚が痛かったりするわけではないのである。


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東邦出版発行『知って得する競馬の金言』より
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