ミスター・海外競馬 合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬7 そしてホースマン

昨年の牝馬2冠馬ブエナビスタが出走するドバイシーマクラシックなど、4つのG1競走が、一日で行なわれるドバイミーティングを“世界の合田直弘氏”が完全解説してくれます!!
第5回
メイダン競馬場のAWコースは瞬発力問われる馬場に

メイダン競馬場のオールウェザー(AW)コースは、
“タペタ” という素材が敷き詰められています。

「メイダン競馬場が開場した直後のタペタコースは、
  かなりパワーを要する馬場になっていて、
  “こりゃあ、ヨーロッパの馬向きに出来ているなぁ” と思っていたのですが、
  ここに来て、大外一気が決まる、瞬発力を問われる馬場になってきた。
  そのことを如実に証明したのが、
  G2マクトゥームチャレンジラウンド3における、
  レッドディザイアの快勝劇だったわけです」



そう語った合田さんが続けます。

「オールウェザーコースは芝馬が活躍する舞台、というのは、
  現在では世界のホースマンの共通認識となっていますが、
  瞬発力勝負になることを想定して、
  世界各地の競馬場にAWコースが設置されたわけでもない。
  まあ、欧州に関して言えば、冬場の開催が可能になるとか、
  そのほかの地域では、メンテナンス費用が節約できるとかが、
  AWコースを造る理由だったわけです。
  とはいえ、世界で最初にAWコースが完成した、
  米のレミントンパーク競馬場は、芝コースの代替物として、
  AWコースを造ったわけですから、
  現在のグラスホースの活躍も、
  ある意味、必然性があることなのかもしれませんね」

ここで、ある仮定の質問を、合田さんに投げかけてみました。
それは、“日本のダート王エスポワールシチーが、ドバイワールドCに
出走していたら、どんな競馬を見せていたか?” というものです。

「AWコース適性は、一頭一頭、個体差があるものですから、
  何とも言い難い面はあるのですが、
  一般論として、エスポワールシチーのような純粋なダート馬は、
  AWコースを苦手とするケースが多いですよね。
  あるいは、エスポワールシチーがドバイワールドC参戦を取りやめたのは、
  賢い選択だったかもしれません。
  これはエスポワールシチーだけのことではないのですが、
  日本のダート馬にとって、タペタコースで行なわれるドバイワールドCが、
  来年以降も、ちょっと縁遠いレースになってしまったのは、事実でしょう」

明日は、タペタコースを使って行なわれる
G1ドバイゴールデンシャヒーンの展望をお届けします。
お楽しみに!

(明日更新の第6回に続く)


構成・文/関口隆哉


合田直弘氏プロフィール

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。 現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。