ミスター・海外競馬 合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬7 そしてホースマン

昨年の牝馬2冠馬ブエナビスタが出走するドバイシーマクラシックなど、4つのG1競走が、一日で行なわれるドバイミーティングを“世界の合田直弘氏”が完全解説してくれます!!
第8回
セリ市で2度も主取りとなったドバイWCの1番人気馬

ドバイミーティングのメーンイベントとなるのが、
G1ドバイワールドC(AW2000m)。
世界最高額となる1着賞金600万ドル(約5億4000万円)が
懸かったこの大レースには、前哨戦となる
G2マクトゥームチャレンジラウンド3(AW2000m)を制した、
日本の4歳牝馬レッドディザイアが、有力馬の一頭として参戦します。

「もっとも重要なプレップレース(前哨戦)と言われ、
  本番のドバイワールドCと同じ、
  メイダン競馬場のタペタコース2000mで争われた、
  マクトゥームチャレンジラウンド3を快勝したわけですから、
  レッドディザイアに対する海外の競馬関係者の評価も、
  極めて高いものとなっています」

「とはいえ・・・」と合田さんが続けます。

「今年のドバイワールドCには、
  非常に強力な出走メンバーが揃ったことも、確かなのです」
  では、その強力メンバーのなかでも、
  合田さんが考える、レッドディザイア最大のライバルは、
  どの馬なのでしょう?

「やはり、昨秋のG1ブリーダーズCクラシックで、
  女傑ゼニヤッタの1馬身差2着し、
  ドバイワールドCの前売りオッズでも1番人気に支持されている
  米の5歳牡馬ジオポンティということになるでしょう」

そう答えた合田さんは、ジオポンティに関する、
興味深いエピソードを語ってくれました。

「この馬は、キャッスルトンリオンズという、
  米の大手牧場に生まれた、名血馬なのですけど、
  1歳時のイヤリングセールでも、2歳時のコールダーセールでも、
  いずれも買い手が付かずに、主取りになってしまったんです。
  コールダーセールでは4万5000ドル(400万円強)という
  安い値段から売り出したのですが、
  セールの公開調教で、まったく時計が出ていなかったので、
  買い手が付かなかったのも、しょうがないことではあったのですが・・・(笑)」

「その後、キャッスルトンリオンズと
  ユニークな格安航空会社として有名なライアン・エアーの創設者である
  トニー・ライアン氏の持ち馬として走ることになったのですが、
  ジオポンティがデビューする前に、トニー氏、
  その跡を継いだ長男さんが、相次いで亡くなってしまったんですね。
  現在は、トニー・ライアン氏の次男さんが、
  馬主グループに加わっているはずです」

「非エリートとして競走生活をスタートさせたジオポンティですが、
  4歳になった昨年は米の芝G1戦を4連勝し、
  米最優秀古牡馬、最優秀芝牡馬に選ばれたわけですから、
  競走馬の運命というのは、本当に予測不可能なものですよね」

ドバイミーティング・プレビュー編の最終回となる明日は、
ドバイワールドCの展望を中心にお届けします。
乞う、ご期待のほどを!

(明日更新の第9回に続く)


構成・文/関口隆哉


合田直弘氏プロフィール

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。 現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。