メイダン競馬場のオールウェザー(AW)コースは、
“タペタ” という素材が敷き詰められています。
「メイダン競馬場が開場した直後のタペタコースは、
かなりパワーを要する馬場になっていて、
“こりゃあ、ヨーロッパの馬向きに出来ているなぁ” と思っていたのですが、
ここに来て、大外一気が決まる、瞬発力を問われる馬場になってきた。
そのことを如実に証明したのが、
G2マクトゥームチャレンジラウンド3における、
レッドディザイアの快勝劇だったわけです」
そう語った合田さんが続けます。
「オールウェザーコースは芝馬が活躍する舞台、というのは、
現在では世界のホースマンの共通認識となっていますが、
瞬発力勝負になることを想定して、
世界各地の競馬場にAWコースが設置されたわけでもない。
まあ、欧州に関して言えば、冬場の開催が可能になるとか、
そのほかの地域では、メンテナンス費用が節約できるとかが、
AWコースを造る理由だったわけです。
とはいえ、世界で最初にAWコースが完成した、
米のレミントンパーク競馬場は、芝コースの代替物として、
AWコースを造ったわけですから、
現在のグラスホースの活躍も、
ある意味、必然性があることなのかもしれませんね」
ここで、ある仮定の質問を、合田さんに投げかけてみました。
それは、“日本のダート王エスポワールシチーが、ドバイワールドCに
出走していたら、どんな競馬を見せていたか?” というものです。
「AWコース適性は、一頭一頭、個体差があるものですから、
何とも言い難い面はあるのですが、
一般論として、エスポワールシチーのような純粋なダート馬は、
AWコースを苦手とするケースが多いですよね。
あるいは、エスポワールシチーがドバイワールドC参戦を取りやめたのは、
賢い選択だったかもしれません。
これはエスポワールシチーだけのことではないのですが、
日本のダート馬にとって、タペタコースで行なわれるドバイワールドCが、
来年以降も、ちょっと縁遠いレースになってしまったのは、事実でしょう」
明日は、タペタコースを使って行なわれる
G1ドバイゴールデンシャヒーンの展望をお届けします。
お楽しみに!
(明日更新の第6回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。 現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。