ミスター・海外競馬 合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬7 そしてホースマン

昨年の牝馬2冠馬ブエナビスタが出走するドバイシーマクラシックなど、4つのG1競走が、一日で行なわれるドバイミーティングを“世界の合田直弘氏”が完全解説してくれます!!
第13回
日欧女王の再戦は欧州競馬関係者の既定路線!?

合田さんも太鼓判を押す、レベルの高い出走メンバーが揃った
G1ドバイシーマクラシック(芝2410m)。
日本の競馬ファンの期待を一身に担った4歳牝馬ブエナビスタは、
勝ったイギリスの5歳牝馬ダーレミを、よく追い上げたものの、
4分の3馬身差及ばずの2着に終わりました。

「本当に、本当に、ブエナビスタにとっては、
  惜しい一戦だったと思います」

悔しそうな表情を浮かべて、そう言った合田さんが続けます。

「鞍上のペリエ騎手が、ブエナビスタの特徴を、
  よく分かっていただけに、直線で爆発させる競馬に
  こだわり過ぎたのかもしれません。
  前半は後方から折り合いに専念し、
  我慢に我慢を重ねてから追い出しましたが、
  レースの流れがスローペースだっただけに、
  もう少し早めに仕掛けていれば、あるいはゴール前で、
  ダーレミを捉えていたのではないでしょうか」

一方、勝ったダーレミは、スローペースを利して、
力を全部出し切る競馬ができたようにも見えました。

「地力、実績ともに十分なものがある馬であることは確かですが、
  正直、勝ち切るとまでは考えていませんでした。
  それにしても、鞍上のW・ビュイック騎手が完璧に乗りましたよね。
  まだ21歳の若者ですが、とにかく達者なジョッキーです」

合田さんが本命と考えていたイギリスの6歳牡馬スパニッシュムーンは、
ダーレミ、ブエナビスタに続く3着となりました。

「スパニッシュムーンは、ほぼ実力を出し切った競馬ができたと思います。
  それをゴール前でアタマ差交わしたのですから、
  やはりブエナビスタは、相当に強い馬です」

「欧州の競馬関係者が、こんなことを言っていました。
  “ダーレミとブエナビスタは、次はどのレースで戦うのかな?” って。
  まあ、日本に戻ってきてヴィクトリアマイルを使うのも悪くはありませんが、
  ブエナビスタには世界のトップホースの一頭として、
  海外のビッグレースを走り抜いて欲しい。
  この馬の実力なら、凱旋門賞制覇も十分に狙えるわけですから、
  それを最終目標とするようなローテーションを組んでもらいたいですね」

明日は、いよいよ当連載の最終回。
ドバイワールドCのレース評をお届けします。
お楽しみに!

(明日更新の最終回に続く)


構成・文/関口隆哉


合田直弘氏プロフィール

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。 現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。