ミスター・海外競馬 合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬7 そしてホースマン

昨年の牝馬2冠馬ブエナビスタが出走するドバイシーマクラシックなど、4つのG1競走が、一日で行なわれるドバイミーティングを“世界の合田直弘氏”が完全解説してくれます!!
第7回
その心意気が頼もしい、グロリアスノアの挑戦!

日本から、4歳牡馬グロリアスノアが参戦する
G2ゴドルフィンマイル(AW1600m)には、
世界的なビッグネームこそ出走してきませんが、
昨年のG2UAE2000ギニー馬で、10カ月振りの出走となった、
今年3月4日のG3マハブアルシマールを快勝した、
地元UAEのデザートパーティ、
G1セントジェームスパレスS・4着など、
欧州のトップマイラー相手に善戦を示し、
プレップレースのG3ブルジナハールを制した、
イギリス馬キャットジュニアなど、
なかなかにレベルの高いメンバーが揃っています。

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「グロリアスノアは、まだ4歳馬ですし、
  実績もG3根岸Sを勝っただけ。正直、今回のメンバーに入ると、
  経験、実績ともに見劣ることは否めません。
  ただし、適鞍を求めて、強敵が揃うドバイにまで遠征していくという
  旺盛なチャレンジ・スピリットに関して言えば、
  まさに、“その意気や良し!” というところではないでしょうか」

合田さんは微笑みを浮かべながら、
グロリアスノアのゴドルフィンマイル挑戦の意義を、
こう語ってくれました。

ゴドルフィンマイルと並んで、ドバイミーティングで行われる
もうひとつのG2競走が、UAEダービー(AW1900m)です。
UAEダービーと言えば、2006年に3着したフロムドパシオンを筆頭に、
同年のカブリン(7着)、2007年のビクトリーテツニー(5着)、
2008年のイイデケンシン(8着)と、
日本の若きダート馬たちも挑戦してきたレースです。

「UAEダービーも、ダート戦からタペタコースに変更されたことで、
  日本の純粋なダートホースが
  参戦しにくくなった面はあるかもしれませんね。
  中距離戦を得意とするトップクラスのグラスホースたちは、
  当然、日本のクラシックレースを目標としますから、
  ここで勝ち負けできるような日本馬の出走は、
  かえって難しくなった印象を持っています」

さて、今年のUAEダービーにおける合田さんの注目は、
どの馬なのでしょう?

「やはり、昨秋のG1ブリーダーズCジュヴェナイルを勝った
  ヴェイルオブヨークが、どんな競馬を見せてくれるかが、
  最大の見所でしょう。
  ヴェイルオブヨーク以外にも、3戦全勝のメンディップなど、
  このUAEダービーには、
  チームゴドルフィンの馬たちが大挙して出走してくる予定です。
  もう一頭、前走でUAE2000ギニーを制した
  南アフリカ馬ムシールも楽しみな存在です」

明日は、G1ドバイワールドCで、
レッドディザイア最大のライバルとなりそうな、
アメリカ馬ジオポンティに関するエピソードを合田さんが語ってくれます。
お楽しみに!

(明日更新の第8回に続く)


構成・文/関口隆哉


合田直弘氏プロフィール

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。 現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。