ミスター・海外競馬 合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬7 そしてホースマン

昨年の牝馬2冠馬ブエナビスタが出走するドバイシーマクラシックなど、4つのG1競走が、一日で行なわれるドバイミーティングを“世界の合田直弘氏”が完全解説してくれます!!
第10回
グロリアスノア好走で、日本のダート馬の可能性が拡がる!

現地時間3月27日(土)に行われた、ドバイミーティング。
まずは、2月上旬に続き、メイダン競馬場を訪れた合田さんに、
この2カ月弱の間の競馬場の変化を尋ねてみました。

「2月上旬の段階では、まだまだ未完成な部分も多かったのですが、
  前日まで続いた突貫工事で、なんとか体裁を整えたという感じでした。
  とはいえ、プレスルームのブースには、
  無線LANも整備されていなかったし、モニターもなかった(笑)。
  まあ、これらの設備は、自前でなんとかしたのですが…」

「でも、メイダン競馬場の雰囲気は最高でした。
  日本からも、ツアーでたくさんの競馬ファンが訪れていたと聞いていますが、
  地元ドバイはもちろん、世界各国から集ったファンたちが、
  自国から参戦する馬たちを熱烈に応援していた。
  世界一の参加国数を誇るドバイミーティングは、
  まさに “競馬のオリンピック” なんだと、強く感じましたね」

ドバイミーティングで行われたG2、G3の国際競走は、全部で3つ。
世界中のスピード自慢が集ったG3アルクォズスプリント(芝1200m)は、
香港馬ジョイアンドファンが地元UAEのフラヴァシを抑えて優勝。
BCターフスプリントを制したカリフォルニアフラッグは、3着でした。
北半球生まれの3歳馬と南半球生まれの4歳馬に出走資格がある
G2・UAEダービー(AW1900m)は、1着ムシール、2着ライハナと、
南アフリカ勢が、上位を独占しています。

G2ゴドルフィンマイル(AW1600m)は、
1着カーミングインフルエンス、2着グリーンコースト、
3着スカイサーファーズと地元UAEの馬たちが大活躍。
日本から参戦したグロリアスノアは、最後まで、よく脚を伸ばし、
4着に食い込みました。

「矢作芳人調教師は、“勝つつもりで、グロリアスノアを連れてきた” と
  仰っていましたから、悔しい敗戦だったかと思いますが、
  現時点での、この馬の力を出し切った、
  非常に良い競馬をしてくれたのではないでしょうか。
  メイダン競馬場で行われる国際レースでは、
  4着に入った馬までが、レースコースから一度パドックの方に戻って、
  ファンの祝福を受けることになっているのですが、
  グロリアスノアも、その権利を見事に得て、
  栄えあるセレモニーに参加することができたわけですし」

「もうひとつ、今回のグロリアスノアの好走は、
  日本のダート馬でも、タペタコースに十分対応できることを
  証明してくれました。
  もちろん個体差はありますが、
  日本のダート戦線の超一流馬がドバイワールドCに参戦してきても、
  好勝負は十分に可能だと思います」

明日はG1ドバイゴールデンシャヒーンのレース評をお届けします。
お楽しみに!

(明日更新の第11回に続く)


構成・文/関口隆哉


合田直弘氏プロフィール

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。 現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。