ミスター・海外競馬 合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬7 そしてホースマン

昨年の牝馬2冠馬ブエナビスタが出走するドバイシーマクラシックなど、4つのG1競走が、一日で行なわれるドバイミーティングを“世界の合田直弘氏”が完全解説してくれます!!
第12回
人気馬2頭が崩れ、地元UAEの伏兵が台頭

2010年アジアマイルチャレンジ第2戦も兼ねる、
G1ドバイデューティフリー(芝1800m)は、
前評判が非常に高かった2頭が、ともに2ケタ着順に終わる、
波乱の展開となりました。

まずは、1番人気に推されていて、合田さんの本命馬でもあった
イギリス馬プレスヴィス(11着)の敗因から、聞いてみました。

「正直、プレスヴィスが、こんなに負けるとは、
  考えていなかったのですが、
  スローペースの展開で、持ち前の末脚が活かせなかったことが、
  すべてでしょうね」

チーム・ゴドルフィン所属の2番人気馬アレクサンドロスも、
前半は好位から競馬を進めていましたが、
直線でまったく伸びず、14着に大敗しました。

「ドバイゴールデンシャヒーンで1番人気に推され、
  8着に終ったガイエゴもそうでしたが、
  今年のドバイミーティングでは、ゴドルフィンの
  ファーストカラー(主戦デットーリ騎手が騎乗する一番の期待馬)が、
  軒並み不振でした。
  もしかしたら、調教過程において何か問題があり、
  ベストの状態に持っていけなかったのかもしれませんね」

この波乱のレースで勝利したのは、地元UAEの6歳牡馬アルシェマリ。
2着バンカブル、3着インボンギを含め、
結局、上位はUAE勢が独占することとなりました。

「前走が一般戦だったこともあって、戦前の評価はいまひとつでしたが、
  アルシェマリはメイダン競馬場で勝利を収めていた馬。
  また、バンカブル、インボンギともに、元来が実績のある馬で、
  プレップレースでも勝ち負けしているわけですから、
  それほど不思議な結果が出たとは思っていません。
  まあ、上位に来た馬たちは、スローペースの展開を、
  上手に立ち回ったことも確かでしょうけど・・・」

G1香港マイルを3連覇している、香港の大スター、グッドババも、
このレースに参戦しましたが、8着に敗れました。

「レース前に香港の地元記者に聞いた話でも、
  “今回グッドババが勝つのは難しいのでは” ということでした。
  この馬は、日本に遠征しての安田記念でも凡走していますが、
  典型的な内弁慶タイプなんですよね。
  ただ、今回は8歳という年齢から来る衰えみたいなものも、
  正直、感じました。
  次走は、地元に帰ってのアジアマイルチャレンジ第3戦となる
  G1チャンピオンズマイルということになるでしょうが、
  劇的な復活は難しいかもしれません」

「もうひとつ・・・」と言って、合田さんが続けます。

「4月に香港で行われるチャンピオンズマイルということでは、
  今回1番人気で負けたプレスヴィスの巻き返しが、
  十分にあると思いますよ」

ということで、明日はブエナビスタが惜敗した
G1ドバシシーマクラシックのレース評です。
ブエナビスタの今後に対する、欧州の競馬関係者の声も
合田さんが紹介してくれますよ!

(明日更新の第13回に続く)


構成・文/関口隆哉


合田直弘氏プロフィール

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。 現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。