ドバイミーティングのメーンイベント、
G1ドバイワールドC(AW2000m)は、
南米ブラジルに生まれ、フランスで調教されている
6歳牡馬グロリアデカンペオンが、逃げ切って勝利しました。
「グロリアデカンペオンは昨年のドバイワールドC2着馬。
今年もメイダン競馬場で行われたプレップレース2戦を1、2着して、
好調をキープしていました。
戦前の評価はいまひとつでしたが、冷静に考えれば、
この馬に勝たれても、少しも不思議はなかったんですよね」
合田さんは、スローペースで推移した、
前哨戦のG2マクトゥームチャレンジラウンド3よりも、
本番ドバイワールドCでは道中の流れが速くなるはずと見ていました。
「ウ~ン、予想と違って、ペースは上がりませんでしたねぇ(笑)。
後続を引きつけながらの逃げで、
グリリアデカンペオンには、最高の展開になりました」
上位人気に推されていたアメリカ馬ジオポンティ(4着)、
フランス馬ヴィジオンデタ(12着)、
イギリス馬トゥワイスオーヴァー(10着)といった、
いずれもメイダン競馬場で行なわれた前哨戦を使わなかった馬たちは、
実力を存分に発揮することができませんでした。
「アメリカの競馬関係者の話によると、
ジオポンティの調整は、必ずしも上手くいってなかったようです。
それでも、4着まで追い上げてきたのですから、
やはり、この馬の地力は、たいしたものですよね」
「ヴィジオンデタやトゥワイスオーヴァーは、昨年もそうだったのですが、
年明け緒戦から走るタイプではないようです。
おそらく、この一戦をきっかけに、
今後調子を上げていくのではないでしょうか」
さて、プレップレースのG2マクトゥームチャレンジラウンド3を快勝した、
日本期待の4歳牝馬レッドディザイアは、
直線で伸びず11着に敗退しました。
「レース前のセレモニーで、100発以上の花火がドカンドカンと上がって、
ドバイワールドCのときの場内の雰囲気は、少し異常なものがあったんです。
あるいは、まだ若い牝馬であるレッドディザイアは、
そんな雰囲気に影響されて、
平常心を失った状態でレースに臨んでいたのかもしれません。
鞍上のスミヨン騎手も、“折り合いのいい馬だと聞いていたが、
今日は、ゲートを出た直後から引っ掛かり通しだった” と言っていました」
「とにかく、この日のレッドディザイアは、
まったく競馬ができませんでした。
ですから、実力負けということではなかったし、
海外の競馬関係者の評価も、依然として高いものがあります。
まあ、上位には、前走で負かした馬たちがズラッと並んでいますから、
悔しい気持ちも相当に残っているのですが・・・」
最後に、レッドディザイアの今後について、
合田さんに聞いてみました。
「できれば、日本に帰って、しっかりと立て直してから、
再び海外のビッグレースに挑戦して欲しい。
欧州の芝も、アメリカのオールウェザーコースもこなせるはずですし、
大きな勲章を得られるだけの実力も、十二分に備えているのですから!」
ということで、ドバイミーティング編は今回で終了です。
“世界の合田” の再登場を、お楽しみにお待ちくださいませ!!
(完)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。 現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。