合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬6 そしてホースマン

12月13日(日)、香港シャンティン競馬場で、世界各地から競合が集う香港国際競馬が開催されます。
第5回
来年の欧州古馬中距離戦線でも大注目のダリアカナ!

香港国際競走のオープニングを飾ったG1香港ヴァーズ(芝2400m)は、
直線で激しい攻防が繰り広げられる好レースとなり、
G・モッセ騎手が手綱を取るフランスの3歳牝馬ダリアカナが勝利。
仏オークス、ヴェルメイユ賞を制した名牝ダリアバの娘であるダリアカナは、
これで通算成績を無傷の5連勝としました。

このダリアカナの勝利に対して、合田さんも賛辞を惜しみません。



「スローペースの展開、しかも直線入り口では最後方に位置しながらの
  差し切り勝ちですから、ダリアカナは本当に強い競馬をしました。
  シーズンオフに差し掛かった3歳牝馬の調整は、
  相当に難しいものだと思いますが、
  この日のダリアカナは、そんなことを微塵も感じさせない、
  素晴らしい走りを見せてくれました」

「ダリアカナは米のスーパー牝馬ゼニヤッタとは対照的な、
  小柄で華奢な馬体の持ち主なのですが、
  馬は大きさじゃないというのが、
  この馬を見ているとよく分かります(笑)。
  あるいは、来年の欧州中距離戦線の主役となってくるかもしれません」

戦前、合田さんがこのレースの本命に推していた
イギリス馬スパニッシュムーンは、
ゴール寸前でダリアカナに交わされ、短頭差の2着となりました。

「好位から抜け出す、作戦通りの競馬ができましたし、
  ほぼ実力は出し切ったと思います。
  ただ、ダリアカナの強さだけが誤算でしたね」

2年連続の出走となった日本馬ジャガーメイルは、
直線でいったん先頭に立つ、見せ場タップリのレース振りで、
ダリアカナから半馬身差の4着に入りました。

「昨年のジャガーメイルは、香港入りしてから、
  大人しすぎるくらいに大人しかったのですが、
  今回は強めの追い切りを掛けたり、
  レースで初めてブリンカーを使用したりと、
  この馬の闘志を掻き立てる、“勝負がかり” の仕上げを、
  堀宣行調教師が施したようです。
  着順こそ、昨年の3着には及びませんでしたが、
  内容的には、昨年を上回る大健闘でしたよね」

明日は、合田さんが戦前から楽しみにしていた、
世界の強豪が揃ったG1香港スプリントのレース評をお届けします。

(明日更新の第6回に続く)


構成・文/関口隆哉



1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。