「身もフタもない言い方ですが(笑)、
競馬における400年の歴史を振り返ってみると、
お金のあるところに、いい馬が集ることは、疑いようの事実。
その意味では、国力、経済力が低迷している日本の競馬界も、
正念場を迎えていることは確かですね」
そう言った合田さんが、日本競馬界の馬券発売システムに関して、
こんなアイディアを披露してくれました。
「日本の競馬ファンは本当に研究熱心だし、
POGとかも盛んに行なわれていますよね。
そこで、ケンタッキーダービー方式で、
日本ダービーの前売り馬券を、
前年の7月、暮れ、その年の3月といった具合に、
期限を決めて発売するのはどうでしょう。
当然、本番より遠い時点で発売される馬券は、
オッズも高くなる。
例えば、前年7月の段階で3連単を的中させていれば、
100円が1億円になる可能性も、十分にあるわけです」
「それと、これはもっと現実的なことかと思いますが、
日本馬が多数参戦するドバイワールドCや、
香港国際競走の馬券を、是非発売して欲しいですね。
既存の施設を使って馬券を売ればいいわけだから、
新たに大量の経費を投入する必要もない。
法律的に、どんな手続きが要るのかは、よく分かりませんが、
その気になれば、出来ることはたくさんあるはずです。
馬券がたくさん売れれば、
日本の競馬は、それだけ強くなっていくのですから」
さて、2010年日本競馬界の話題と言えば、
JRA初の海外居住者馬主として、
シェイク・モハメド殿下とその一族、計3名が、
認可される方向となったことです。
「日本競馬界に新風が巻き起こるか、楽しみです。
日本ダービーに殿下ご自身がいらしてくれるようなことになれば、
社会的なニュースにもなりますしね。
ただし、当日の東京競馬場の警備体制は、
物凄~く、厳しいものになるでしょうが(笑)」
ということで、香港国際競走のプレビューから続いてきた
『海の向こうの競馬、そしてホースマン6』は、今回でフィニッシュです。
2010年も、合田さんには、ちょくちょくと、
ご登場願う予定になっていますので、
相も変わらぬご贔屓のほどを!
(完)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。