2009年のアメリカには、プリークネスS、ケンタッキーオークス、
ハスケル招待Hなど、G1戦5連勝を含む8戦全勝の戦績を残した
3歳馬レイチェルアレクサンドラ、
ラストランとなったブリーダーズCクラシックを含む、
5戦全勝(うちG1戦4勝)で駆け抜けた、
5歳馬ゼニヤッタという2頭のスーパー牝馬が、話題の中心となりました。
まずは、レイチェルアレクサンドラについての評価を
合田さんに下してもらいました。
「レイチェルアレクサンドラが、
素晴らしいパフォーマンスを示し続けたことは、
当然、高く評価していいでしょう。
ただし、古馬の4、5番手であるマッチョアゲインに
アタマ差まで詰め寄られたウッドワードSのレース内容を見ると、
その強さに対して、若干の疑問は残りました」
「レイチェル陣営は、ゼニヤッタに対して、
“西海岸から出ていないローカルチャンピオン” と
批判していますが、
米の競馬関係者の誰もが、年間チャンピオン決定戦と認めている
ブリーダーズCクラシックで敵前逃亡してしまったことは、
大きなマイナス材料でしたよね」
「そんなレイチェルアレクサンドラとは対照的に、
ゼニヤッタは、ブリーダーズCクラシックで、
全部を持っていってしまったようにも感じています」
1980年代後半の名牝パーソナルエンサインの持つ13連勝を上回る、
14連勝を記録して引退したゼニヤッタ。
その歴史的な評価を合田さんに伺ってみました。
「10年、あるいは20年に一度という、
無茶苦茶に強い牝馬であることは確かでしょう。
でも、今年に関しては、古馬も3歳馬も牡馬陣が手薄だったように、
現在の米競馬のレベルは、決して高くはないとも思っています。
記録的にはパーソナルエンサインを超えましたが、
実力的にも上回っているかは、
正直、分からないところがありますね」
明日からは、2010年海外競馬の見どころ、注目馬について、
合田さんが語ってくれます。
みなさん、必読ですよ!
(明日更新の第13回に続く)
構成・文/関口隆哉
1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。