合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬6 そしてホースマン

12月13日(日)、香港シャンティン競馬場で、世界各地から競合が集う香港国際競馬が開催されます。
第12回
ゼニヤッタは10年、20年に一頭の超大物牝馬

2009年のアメリカには、プリークネスS、ケンタッキーオークス、
ハスケル招待Hなど、G1戦5連勝を含む8戦全勝の戦績を残した
3歳馬レイチェルアレクサンドラ、
ラストランとなったブリーダーズCクラシックを含む、
5戦全勝(うちG1戦4勝)で駆け抜けた、
5歳馬ゼニヤッタという2頭のスーパー牝馬が、話題の中心となりました。

まずは、レイチェルアレクサンドラについての評価を
合田さんに下してもらいました。

「レイチェルアレクサンドラが、
  素晴らしいパフォーマンスを示し続けたことは、
  当然、高く評価していいでしょう。
  ただし、古馬の4、5番手であるマッチョアゲインに
  アタマ差まで詰め寄られたウッドワードSのレース内容を見ると、
  その強さに対して、若干の疑問は残りました」

「レイチェル陣営は、ゼニヤッタに対して、
  “西海岸から出ていないローカルチャンピオン” と
  批判していますが、
  米の競馬関係者の誰もが、年間チャンピオン決定戦と認めている
  ブリーダーズCクラシックで敵前逃亡してしまったことは、
  大きなマイナス材料でしたよね」

「そんなレイチェルアレクサンドラとは対照的に、
  ゼニヤッタは、ブリーダーズCクラシックで、
  全部を持っていってしまったようにも感じています」

1980年代後半の名牝パーソナルエンサインの持つ13連勝を上回る、
14連勝を記録して引退したゼニヤッタ。
その歴史的な評価を合田さんに伺ってみました。

「10年、あるいは20年に一度という、
  無茶苦茶に強い牝馬であることは確かでしょう。
  でも、今年に関しては、古馬も3歳馬も牡馬陣が手薄だったように、
  現在の米競馬のレベルは、決して高くはないとも思っています。
  記録的にはパーソナルエンサインを超えましたが、
  実力的にも上回っているかは、
  正直、分からないところがありますね」

明日からは、2010年海外競馬の見どころ、注目馬について、
合田さんが語ってくれます。
みなさん、必読ですよ!

(明日更新の第13回に続く)


構成・文/関口隆哉




1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。