合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬6 そしてホースマン

12月13日(日)、香港シャンティン競馬場で、世界各地から競合が集う香港国際競馬が開催されます。
第10回
種牡馬シーザスターズの成功にも太鼓判!

2010年春から種牡馬供用されるシーザスターズの繋養先は、
英の代表的オーナーブリーダーであるアガ・カーン殿下が所有する、
アイルランドのギルタウンスタッドに決定しています。

合田さんは、種牡馬シーザスターズの成功に対して、
早くも太鼓判を押しています。

「まず、競走時代に8F、10F、12Fの各カテゴリーで
  G1勝ちを果している圧倒的な総合能力、
  次に、2歳時から重賞勝ちしている
  仕上がりの早さを持っていること、
  3番目として、母アーバンシーが凱旋門賞馬、
  半兄ガリレオが英、愛ダービー馬で、
  種牡馬としても成功しているという超一級品の母系、
  最後に、繋養されるスタッドも一流だし、
  配合される繁殖牝馬も超豪華ですから、
  ほとんど失敗することは考えられない。
  実際、競馬の未来を、すべて種牡馬シーザスターズに
  託してしまう感すらしますよね」

そのシーザスターズも、初G1制覇となった
英2000ギニーを走るときは、6番人気という評価でした。

「3月に熱発していたことが、
  英2000ギニーでの低い評価に繋がったわけですが、
  続く英ダービーでも距離不安云々が言われて、
  1番人気ではなかったのですよね。
  まあ、今となれば、
  “マスコミは、いったい何を見ていたのじゃ!”
  ということなのですが…(笑)」

さて、シーザスターズの現役引退とともに、
その主戦であるマイケル・キネーン騎手も、
ジョッキー生活に別れを告げることを表明しました。

「 “自分が過去に乗ってきた歴代の名馬のなかでも、
  シーザスターズのような完璧な馬はいなかった” と、
  キネーン騎手がコメントしていましたが、
  実際のところ、シーザスターズは、
  かなり乗り方が難しい馬だったのではないでしょうか。
  その意味では、シーザスターズの快進撃に対して、
  キネーン騎手が果した役割は、本当に大きかったと思います」

(明日更新の第11回に続く)


構成・文/関口隆哉




1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。