合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬6 そしてホースマン

12月13日(日)、香港シャンティン競馬場で、世界各地から競合が集う香港国際競馬が開催されます。
第4回
クィーンスプマンテがノーマークで逃げるためのマル秘作戦!

香港国際競走で行われる4つのG1レースのなかで、
最高額となる1着賞金1140万香港ドル(約1億6000万円)が懸かった
G1香港カップ(芝2000m)には、
11月のG1エリザベス女王杯で大波乱劇の主役となった
5歳牝馬クィーンスプマンテが日本から参戦します。
合田さんはクスッと笑いながら、こんな話をしてくれました。

「英のオッズメーカーの評価などでは、クィーンスプマンテは、
  だいぶ馬鹿にされた数字が出ています。
  でも、今年の香港カップはメンバーが手薄な上に、
  確たる逃げ馬がいない。
  エリザベス女王杯のように、ノーマークで逃げられれば、
  あるいは “もう一丁” があるかもしれない」

「そこで、外国や地元香港の競馬関係者やメディアに、
  クィーンスプマンテのことを聞かれたときには、
  “この馬大したことないですから、逃げても怖くはないですよ~” と
  敢えてコメントして、
  ほかの出走馬の陣営がますます油断してくれるように
  心がけているんです(笑)」

日本の競馬ファンからすれば、合田さんの頭脳作戦が、
ぜひ効果を発揮してもらいたいところですが、
地力から考えれば、本命はクィーンスプマンテ以外の馬となるようです。

「本命には香港の4歳馬コレクションを推します。
  前走で、香港カップと同じシャティン競馬場芝2000mを舞台とする
  国際カップトライアルを快勝していて、その勢いも魅力的です。
  対抗には、同じく地元香港勢の5歳セン馬アイシャルを抜擢します。
  昨年の仏ダービー馬であるヴィジオンデタは、
  アッサリ勝たれても不思議ではない地力の持ち主ですが、
  安定感には欠けるタイプで、単穴評価に留めます。
  で、特注にクィーンスプマンテ。気持ちよく逃げて、
  今度は、世界の競馬関係者をアッと言わせて欲しいですね」

ということで、香港国際競走のプレビューは、これにて終了です。
来週水曜日(12月16日)からは、レース評編をお届けする予定ですので、
乞うご期待のほどを!

(次回、第5回は12月16日の水曜日にお届けします)


構成・文/関口隆哉




1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。