合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬6 そしてホースマン

12月13日(日)、香港シャンティン競馬場で、世界各地から競合が集う香港国際競馬が開催されます。
第11回
AWが欧州競馬にアドヴァンテージをもたらす!?

シーザスターズ一色に塗りつぶされた感もあった
2009年のヨーロッパ競馬界ですが、
ほかの馬たちも、なかなかのものだったと合田さんは指摘します。

「Kジョージ6世&QエリザベスSを勝ち、
  米に遠征してブリーダーズCを連覇したコンデュイット、
  欧州最優秀古馬にも選出された“マイルの女王”ゴルディコヴァ、
  今後の期待も大きい、3歳の実力馬リップヴァンウィンクル、
  そしてG1ゴールドCで4連覇を飾り、
  4年連続で欧州最優秀ステイヤーに輝いた古豪イエーツと、
  各路線で素晴らしい馬たちが活躍してくれました」

「もし、シーザスターズがいなければ、どの馬も、
  もっともっと大きな注目を集めていたと思います。
  いずれにしても、2009年欧州競馬は、とても楽しい一年でしたね」

さて、欧州の競馬に関する話題と言えば、
凱旋門賞が行なわれるロンシャン競馬場
(2012年秋に大規模な改修工事に入る予定)に、
オールウェザーコースが増設されることが決定するなど、
急速なAW化があげられます。

「これまでの傾向から、
  オールウェザーコースはダート馬より、
  芝馬の方が得意とすることがはっきりと分かってきました。
  その意味では、欧州の場合、
  これまでの生産や育成のノウハウが大きく変わるわけではない。
  従来のやり方で、芝とオールウェザーが共存できるわけです。
  オールウェザー自体は、馬の脚元にも優しいし、
  冬場でも競馬開催が可能になる。
  ヨーロッパに関して言えば、
  オールウェザーがもたらすプラス面の方が大きいのではないでしょうか」

「実際、来年の3月にオールウェザーコースで開催される
  ドバイワールドCには、香港Cを制したヴィジオンデタなど、
  欧州の一線級が続々参戦を表明しています。
  今後も、オールウェザーコースで行なわれるビッグレースに、
  欧州勢が積極的に参加してくることは間違いないでしょう」

明日は2009年アメリカ競馬を、合田さんに振り返ってもらいます。

(明日更新の第12回に続く)


構成・文/関口隆哉




1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。