フリーライターとしての仕事を始めた1990年代前半のある夜、
出版社に勤めていた頃の先輩から呼び出しを受けたことがあります。
「面倒臭いなぁ…」 と思いつつ、高田馬場に出向いてみると、
そこには、先輩を含め、5人の男たちが集められていました。
先輩曰く、「われわれ5人で、“ギァンブライターズ” を結成する!」
“ギャンブライターズ” とは、
ギャンブルに関する原稿を得意とするライター集団のことで、
5人の役割分担は、カジノ、株、麻雀、競輪、競馬と分かれていました。
呼び出した先輩はカジノ担当 (この人は、カジノを舞台とした
アマチュアディーラーの大会? で優勝経験を持っていました)、
そして筆者は競馬担当となったわけです。
結局、この夜は高田馬場、新宿を舞台とするグダグダの飲み会となり、
その後、ギャンブライターズの話も、お蔵入りしたのですが、
「ギァンブライターズの一員とならなくて、本当に良かった!」 と、
いまでも時々、あの訳の分からない夜を思い出したりもするのです。
まったくもって、個人的な感想ですが、
2003年のG3京都牝馬S、G3中京記念を連続して3着した
ギャンブルローズ “Gamble Rose” は、
どことなく、ギャンブライターズを連想させる名を持つ競走馬でした。
あくまで推測ですが、この馬名は、
ギャンブリングロース “Gambling Rose = 薔薇を賭けて” としたかったが、
文字数が10になってしまうので、「ギャンブルローズ」 でいいか、
という感じで付けられたのではないでしょうか。
その、軽い感じの馬名の付け方 (あくまで推測ですが) も、
非常に安易なネーミングだった、ギャンブライターズを彷彿とさせるのです。
さて、ギャンブルローズの母は、G3中山牝馬Sを制したユキノローズ。
ユキノローズの産駒には、ギャンブルローズ以外にも、
6勝馬ランフォーローズ、2勝馬ウィンディローズ、
1勝馬ハリウッドローズなどがいます。
つまり、ローザネイを祖とし、ローズキングダム、ローズバド、
ヴィータローザなどが出ている、あの有名なファミリー同様、
ユキノローズから拡がる母系も、「薔薇一族」 となるわけです。
もうひとつの 「薔薇一族」 と比べると、
地味な感は否めないユキノローズのファミリーですが、
母となったギャンブルローズは、2008年のG3きさらぎ賞、
2011年のG3関屋記念を制したレインボーペガサスを産む、
頑張りを示しています。
まあ、「レインボーペガサス “Rainbow Pegasus = 虹色の天馬” は、
“薔薇” じゃないじゃん」 と言われればそれまでですが、
いつの間にか消え去ったギャンブライターズと違い、
ユキノローズから連なる、もうひとつの 「薔薇一族」 には、
粘り強く、その血を後世に伝えて欲しいところです。
ということで、100回に渡り、お送りしてきた 『馬名ミュージアム』 も、
今回で最終回。長い間のご愛読、本当にありがとうございました。
構成・文/関口隆哉