合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬6 そしてホースマン

12月13日(日)、香港シャンティン競馬場で、世界各地から競合が集う香港国際競馬が開催されます。
第14回
欧州クラシック戦線に新ヒーロー誕生か!?

2010年欧米競馬の注目馬は、どの馬か?
今日は、そのあたりを合田さんに尋ねてみます。

「ヨーロッパに関しては、シーザスターズこそ引退してしまいましたが、
  欧州最優秀古馬に選ばれた、“マイルの女王” ゴルディコヴァ、
  ブリーダーズCクラシックでは惨敗を喫しましたが、
  当代きっての名調教師エイダン・オブライエン師が高く評価している
  リップヴァンウィンクル、
  さらには香港ヴァーズを制した無敗牝馬ダリアカナといった
  スターホースたちが、2010年も現役を続行してくれます。
  当然、古馬戦線の中心になってくるでしょうね」

「このなかでも、2009年は本領を発揮し切れなかった
  リップヴァンウィンクルが、
  その実力を全開にしてくれることを大いに期待しているんです」

またヨーロッパでは、G1レーシングポストTを含む3戦3勝の戦績を残し、
欧州2歳牡馬チャンピオンにも選ばれた
モンジュー産駒セイントニコラズアベイが、
クラシック戦線の中心と目されています。

「レーシングポストTが終了した直後に、
  英ダービーの前売りオッズが3倍しか付かないという、
  近年にない高い評価を得ています。
  一部からは、“シーザスターズの後を継ぐのは、この馬”
  という声も出ていますから、楽しみは大きいですね」

「一方、アメリカの3歳三冠路線は混沌としています。
  ブリーダーズCジュヴェナイルを制したのも、
  イギリス馬のヴェイルオブヨークだし、
  2着に入ったルッキアットラッキーも、オールウェザーでは強くても、
  ダート競馬は未知数ですからね。
  ひょっとすると、ヴェイルオブヨークがダートもこなせるようなら、
  再び米に遠征して、
  シェイク・モハメド殿下の悲願である、
  ケンタッキーダービー制覇を成し遂げることがあるかもしれません」

明日からは、世界のなかの日本競馬という視点から、
合田さんに語ってもらいます。
乞うご期待のほどを!

(明日更新の第15回に続く)


構成・文/関口隆哉



1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。