合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬4 そしてホースマン

アメリカ競馬の祭典であり、1年の総決算でもある第26回ブリーダーズC・ワールドサラブレッドチャンピオンシップが、現地時間11月6、7日の2日間に渡り、米カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場で開催されます。
第4回
デビュー戦以来の14連勝を目指すゼニヤッタの選択は!?

 3歳11月のデビュー戦から、現在までの約2年間に渡り、
無傷の13連勝(うちG1戦7勝)を記録している、米競馬界が誇る女傑ゼニヤッタ。
ブリーダーズCで、1980年代後半に大活躍した名牝中の名牝パーソナルエンサインを上回る
デビュー戦からの14連勝を目指すゼニヤッタですが、
10月下旬の段階では、いまだ出走するレースが決まっていないのです。

「ゼニヤッタが現地時間6日に行なわれる
  ブリーダーズCレディーズクラシックへ出走するのか、
  それとも現地時間7日開催のブリーダーズCクラシックに出てくるかは、
  レース直前まで分からない状況になっています」

合田さんが、さらに続けます。

「ただ、2009年の米年度代表馬ということに視点を移すと、
  たとえゼニヤッタがレディーズクラシックを勝ったとしても、
  3歳、そして古馬の牡馬たちを降してG1勝ちを記録している
  3歳牝馬レイチェルアレクサンドラに
  米年度代表馬の栄誉が行くだろうと言われています」

「しかし、ゼニヤッタがブリーダーズCクラシックで、
  欧州勢を含む強力牡馬陣を蹴散らして連勝記録を“14”に伸ばせば、
  米年度代表馬を巡る状勢は一気に変わってくるはずです」

もしも、ゼニヤッタがブリーダーズCクラシックへ矛先を向けてきたとしたら、
勝利を得る可能性はいかばかりなのでしょう?

「まず、追い込みが効きやすい、
  サンタアニタパーク競馬場のオールウェザーコースは、
  爆発的な末脚を武器とするゼニヤッタには、とても向いている。
  事実、前走のG1レディーズシークレットSを含め、
  これまでにゼニヤッタは
  サンタアニタパークで4戦全勝の戦績を残しています」

「さらに、ゼニヤッタの主戦であるマイク・スミス騎手は、
  レディーズシークレットSを制した後で、
  こんな自信のコメントを残しています。
  “われわれは、どんな強敵に対しても、戦う準備ができている”。
  これは、この時点で、BCクラシック参戦が噂されていた、
  欧州ナンバー1のシーザスターズを強く意識した発言だったわけです」

とはいえ、ゼニヤッタのブリーダーズCクラシック制覇は、
そう簡単なことではないだろうと、合田さんは主張します。
その理由は、また明日ということで!

(明日更新の第5回に続く)

構成・文/関口隆哉



1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。