合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬4 そしてホースマン

アメリカ競馬の祭典であり、1年の総決算でもある第26回ブリーダーズC・ワールドサラブレッドチャンピオンシップが、現地時間11月6、7日の2日間に渡り、米カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場で開催されます。
第7回
ブリーダーズCマラソンを制したのはカジノドライヴの半弟!

現地時間11月6日、7日に米カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場で行なわれた、
アメリカ競馬の祭典=ブリーダーズカップ。
全部で14競走(うちG1・10レース)が行われたブリーダーズCですが、
まずは第1日目に施行された、グレード外のBCマラソン(AW14F)について、
合田さんにコメントを伺いました。



「勝ったのは、アイルランドの名調教師
  A・オブライエン師が管理するマンオブアイアン(牡3)でした。
  父にジャイアンツコースウェイを持つマンオブアイアンですが、
  お母さんの名はベターザンオナー。
  血統に詳しい方なら、ピンと来るかと思いますが、
  カジノドライヴの1歳下の半弟にあたる馬です」

カジノドライヴ以外にも、ジャジル、ラグストゥリッチズという、
いずれも米G1ベルモントSを勝った兄姉を持つ、極めつけの名血馬マンオブアイアンですが、
レース前には、それほど大きな期待を担ってはいなかったようです。

「A・オブライエン師は、クラシックに出走する
  リップヴァンウィンクルを筆頭に、
  今年も多くの管理馬をブリーダーズCに連れてきました。
  まあ、マンオブアイアンに関しては、
  “ついでに、この馬も連れていくか”
  という感じだったのかもしれませんが(笑)、
  さすが良血馬という中身の濃い競馬をしてくれましたよね。
  勝ちタイムはトラックレコードですし、
  オールウェザーコースへの適性も極めて高かった」

「いずれにしても14Fという距離だと、
  アメリカ勢は、どうしても手薄になります。
  したがって、欧州馬だけでなく、
  中長距離馬の層が厚い日本馬にも
  絶対チャンスが大きい競走ですよね。
  来年はチャーチルダウンズ競馬場の
  ダートコースが舞台となりますが、
  例えばD2300m戦である東海Sの
  勝ち馬あたりが遠征すれば、
  十分に好勝負は可能だと思います」

第1日目に施行されたBCマラソン以外の競走では、
2歳牝馬限定G1ジュヴェナイルフィリーズ(AW8.5F)をシービーワイルド、
牝馬限定のG1フィリー&メアースプリント(AW7F)を4歳馬インフォームドディシジョン、
同じく牝馬限定G1 BCレディーズクラシック(AW10F)を4歳馬ライフイズスウィートと、
いずれも地元アメリカ馬が勝利しています。

残りのBCフィリー&メアーターフ、
BCジュヴェナイルフィリーズのレース結果は、
合田さんのコメントとともに明日お届けします。
お楽しみに!

(明日更新の第8回に続く)

構成・文/関口隆哉




1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。