合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬4 そしてホースマン

アメリカ競馬の祭典であり、1年の総決算でもある第26回ブリーダーズC・ワールドサラブレッドチャンピオンシップが、現地時間11月6、7日の2日間に渡り、米カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場で開催されます。
第5回
欧米の比較では、ヨーロッパ勢が相当に優勢!?

昨年、今年と同じサンタアニタパーク競馬場のオールウェザーコースで開催された
ブリーダーズCクラシックでは、カーリンらアメリカのトップホースを抑え、
イギリス調教馬のレイヴンズパスが優勝しました。
ちなみに、2着に入ったヘンリーザナヴィゲーターも、アイルランドで調教される欧州馬でした。

合田さんは、今年のブリーダーズCクラシックにおける、
アメリカ馬と欧州勢の比較ということで、こんな実例をあげてくれました。



「10月10日にサンタアニタパーク競馬場で行われた
  ブリーダーズCクラシックの前哨戦、
  G1グッドウッドSの結果は、
  アメリカの競馬関係者に衝撃を与えるものでした。
  コロネルジョン、リチャードキッズ、
  マインザットバードといったトップクラスの牡馬たちが、
  イギリスから遠征してきた3歳牡馬ヒターノエルナンドに、
  手もなく捻られてしまったからです」

「正直、ヒターノエルナンドは、
  欧州では超一流どころとは、とても言えないクラス。
  この馬に勝てないのでは、
  さらに強い欧州馬たちが参戦を予定している
  ブリーダーズCクラシックでアメリカ馬が勝利を収めることは、
  相当に難しいと考えざるを得なかったわけですね」

陣営が自信を示しているとはいえ、基本的にゼニヤッタは、
牝馬限定戦で連勝記録を伸ばしてきた馬。
アメリカ牡馬一線級との実力比較という面では、未知数な馬でもあります。

「ゼニヤッタが、やや低調と言われる
  米の牡馬陣よりも強かったとしても、
  今年の強力な欧州勢を打ち負かすことは、
  かなり困難だと思います。
  それに、シーザスターズこそ引退してしまいましたが、
  今年のブリーダーズCクラシックには、
  G1連勝中の欧州最高峰に位置する
  昇り調子の3歳牡馬が参戦を予定していますから!」

合田さんも認める、ヨーロッパの強豪3歳馬に関する話題は、
明日お届けします。乞うご期待!

(明日更新の第6回に続く)

構成・文/関口隆哉




1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。