合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬4 そしてホースマン

アメリカ競馬の祭典であり、1年の総決算でもある第26回ブリーダーズC・ワールドサラブレッドチャンピオンシップが、現地時間11月6、7日の2日間に渡り、米カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場で開催されます。
第9回
注目の2歳王者決定戦はゴドルフィンの超伏兵が勝利!

現地時間11月7日には、計8つのブリーダーズC競走が行なわれました。
まずは、そのうちの4レースの結果を記しておきます。

2歳牡セン馬限定のG2ブリーダーズCジュヴェナイルターフ(芝8F)を制したのは、
名手L・デットーリ騎乗のイギリス馬パウンスド。

グレード外のブリーダーズCターフスプリント(芝6.5F)は、
1番人気に推されていた米の5歳セン馬カリフォルニアフラッグが
2着馬に1馬身4分の3差を付ける完勝を飾りました。

もうひとつの短距離戦であるG1ブリーダーズCスプリント(AW6F)は
9頭立ての8番人気だった米の4歳セン馬ダンシングインシルクスが
大波乱劇の主役を務めました。

また、G1ブリーダーズCダートマイル(AW8F)は、
人気薄だった米の4歳セン馬ファーゼストランドが初G1勝ちを記録。
1番人気に推されていた欧州勢のマスタークラフツマンは4着に敗退しました。

さて、合田さんが戦前に注目レースのひとつとしてあげていたのが、
ドゥファニーボーン、ルッキンアットラッキーという
東西の大駒2頭が初めて対戦する2歳牡セン馬限定戦、
G1ブリーダーズCジュヴェナイル(AW8.5F)です。

「今年のブリーダーズCでは、
  ゴドルフィン勢が15頭ほど出走してきたのですが、
  この一戦までは、いまひとつの結果が続いていたのです。
  “どこかで一発がありそうだゾ” という予感はしていたのですが、
  まさか、このジュヴェナイルで “やる” とは思いませんでした(笑)」



苦笑しながら、そう語る合田さん。
勝利したゴドルフィン所属のイギリス馬
ヴェイルオブヨークは13頭立ての11番人気という超伏兵馬でした。

「アタマ差の2着に敗れたとはいえ、
  1番人気に推されていたルッキンアットラッキーは、
  内容の濃い競馬をしたと思います。
  引き続き、要注目の若駒ですね。
  完敗を喫したドゥファニーボーンは、
  オールウェザーコース下手が、完全に出てしまったようです」

「ヴェイルオブヨークの勝因は、
  第一にオールウェザーコース適性が高かったこと。
  それから、今季後半戦から復調著しい
  ゴドルフィンの勢いに上手く乗った
  ということもあった気がしています」

(明日更新の第10回に続く)

構成・文/関口隆哉



1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。