合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬4 そしてホースマン

アメリカ競馬の祭典であり、1年の総決算でもある第26回ブリーダーズC・ワールドサラブレッドチャンピオンシップが、現地時間11月6、7日の2日間に渡り、米カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場で開催されます。
第11回
コンデュイットが史上2頭目のBCターフ連覇を達成!

計14競走が行われるブリーダーズCのなかで2番目の高額となる
総額300万ドル(約2億7000万円)の賞金が懸かったG1ブリーダーズCターフ(芝12F)。
逃げ粘りを図ったアメリカ馬プレシャスパッションをゴール前で交わし、
先頭でゴールインしたのは、1番人気に推されていたイギリスの4歳牡馬コンデュイットでした。
この勝利でコンデュイットは、2002、2003年(この年は1位同着)のハイシャパラル以来、
史上2頭目となる、ブリーダーズCターフ連覇を達成しました。

合田さんは、今回のコンデュイットの走りを、こう評しています。



「やはりコンデュイットの実力は、
  他馬に比べ、完全に一枚上のものでしたね。
  また、切れ味が活きて、時計が速い(勝ち時計は2分23秒75)、
  この日のサンタアニタパークの馬場も、
  コンデュイットには、とても向いていたと思います」

ブリーダーズC直前、ビッグレッドファームに購買されたコンデュイットは、
来春から、日本で種牡馬入りすることが決まっています。

「これは、管理するマイケル・スタウト調教師のいつものやり方なのですが、
  ブリーダーズCターフを勝った直後にイギリスに戻り、
  現在は様子を見ているところです。
  おそらく、特に問題がなければ、
  次走はジャパンCを選択してくれるのではないでしょうか。
  休養を挟んで、凱旋門賞、ブリーダーズCターフを使う
  というローテーションを採用していますから、
  フレッシュな状態で来日できそうなのも強味です。
  出走してくれば、間違いなく目玉的存在の外国馬となるはずです」

2着に入ったアメリカ馬プレシャスパッションに関しても、合田さんは高い評価を与えています。

「逃げて、どこまで粘れるかというタイプの競走馬なのですが、
  3着ダーレミ、4着スパニッシュムーンといった
  欧州の一線級を抑えて2着したプレシャスパッションも
  立派な走りをしたと思います。
  芝戦線を主戦場にしていたジオポンティも
  ブリーダーズCクラシックで2着に入りましたし、
  今年のアメリカ芝路線は、なかなかにレベルが高かったようです。
  この路線のトップクラスがジャパンCに参戦してくるようなら、
  そちらも要チェックでしょう」

ちなみに、今年のジャパンCには、
ジオポンティを降してG1勝ちした経験も持つ7歳セン馬インターパティションの参戦が決定。
こちらも期待がかけられそうです。

さて、明日はいよいよブリーダーズCのメーンエベントである
ブリーダーズCクラシックのレース評や勝利したゼニヤッタの話題をお届けします。
お楽しみに!

(明日更新の第12回に続く)

構成・文/関口隆哉



1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。