合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬4 そしてホースマン

アメリカ競馬の祭典であり、1年の総決算でもある第26回ブリーダーズC・ワールドサラブレッドチャンピオンシップが、現地時間11月6、7日の2日間に渡り、米カリフォルニア州サンタアニタパーク競馬場で開催されます。
最終回
女傑ゼニヤッタの記録と記憶に残るBCクラシック勝利!

「“初の男馬相手で、自分の競馬を貫き通すことができるのか!?”。
  レース前は、そんな疑問も抱いていたのですが、
  スタート直後は後方をポツンと追走、
  3角から猛烈なマクり脚を見せて、
  直線では外に出して末脚勝負という、
  いつも通りの競馬をゼニヤッタは見せてくれた。
  それで、あの完勝ですから、
  もう、ゴールした瞬間は、
  背筋が震えて止まりませんでした!」



合田さんは、少し興奮気味に、G1ブリーダーズCクラシック(AW10F)における、
女傑ゼニヤッタのレース振りを振り返ってくれました。

合田さんの「一押し」であった
欧州馬リップヴァンウィンクル(体調不良もあったのか10着に敗れ去りました)を含む、
牡馬の超一線級を蹴散らしてのゼニヤッタの勝利は、まさに文句なしのものでした。
ゼニヤッタは、昨年のBCレディーズクラシックに続き、
違うカテゴリーでのブリーダーズC連覇を達成。
1980年代の名牝パーソナルエンサインの記録を破る、
デビュー戦以来の14連勝もマークしました。

「マスコミを上手に使うことで定評のある(笑)、
  レイチェルアレクサンドラ陣営が、
  “レイチェルは3度牡馬の一線級を打ち破っているが、
  ゼニヤッタはBCクラシックの一度だけ”、
  “ゼニヤッタはカリフォルニアから出たことがない”
  といったネガティヴキャンペーンを
  今後も繰り広げてくるかもしれませんが、
  ゼニヤッタの米年度代表馬獲得は、
  かなり確実なものとなった気がしています」

「まあ、実際問題として、
  この素晴らしいブリーダーズCクラシックでの
  ゼニヤッタの勝ちっ振りを目のあたりにしてしまうと、
  ゼニヤッタ以外の馬を年度代表馬に推すのは、
  ちょっと難しいことですよねぇ(笑)」

来年6歳となるゼニヤッタには、現役続行説も出ていましたが、
どうやら、このBCクラシックを最後に、
栄光の現役生活に終止符を打つこととなったようです。

さて、米の競馬の祭典、ブリーダーズCをテーマとした
“海の向こうの競馬、そしてホースマン4” は、今回でおしまいです。

11月下旬からは、ジャパンC、ジャパンCダートを
合田さんが語り尽くす新シリーズが始まる予定ですので、
引き続き、ご贔屓のほどを、よろしくお願いいたします!

(完)

構成・文/関口隆哉




1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。