合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬5 そしてホースマン

海外からトップホースを招いて行われるジャパンC&ジャパンCダートが11月29日(日)東京競馬場、12月6日(日)阪神競馬場で開催されます。
第3回
イギリス勢の期待はコンデュイットに集中!

イギリスのR・ハロン厩舎所属のシンティロ(牡4歳)は、
2歳時にG1伊グランクリテウム(1600m)、
そして4歳となった今年3月にG3ウインターダービー(10F)、
5月にG2シャンティ大賞(2400m)と、
イタリア、イギリス、フランスの欧州3カ国で重賞勝ちを記録しています。

合田さんは、シンティロをこう評価してくれました。



「世界を股にかけて大活躍した
  父ファンタスティックライトの遺伝子を
  確実に受け継いだ馬ですね。
  遠征競馬にも慣れていますから、
  環境の変化に途惑うこともないでしょう。
  それに、欧州でのシンティロの評価は、
  “渋った馬場が苦手” ですから、
  東京の硬い馬場も向いていると思います」

「とはいえ、同じイギリス馬のコンデュイットと比べると、
  明らかに格下であることも確かです。
  おそらく、コンデュイットとシンティロの間には、
  10馬身ほどの能力差があると、
  母国イギリスの競馬関係者は見ているはずです。
  したがって、シンティロが連に絡むようなケースは、
  ほとんど考えなくていいでしょうね」

さて、イギリスから来日したもう一頭が、
今年のジャパンCの目玉外国馬と評されているコンデュイットです。

「血統を見ると、
  父系がダラカニ~ダルシャーンへと遡る系統で、
  母父がサドラーズウェルズという、
  いかにも重厚なヨーロピアンタイプですし、
  英セントレジャーや “Kジョージ” といった、
  スタミナと底力が問われるG1戦のウイナーでもある。
  したがってコンデュイットは、
  ジャパンC向きの素軽さやスピードには欠けているはずと見る、
  日本の競馬ファンも多いかもしれません」

「でも、血統表や競走成績から受ける印象と、
  その実像がまったく違うのが、
  このコンデュイットという超一流馬なのです」

「2分23秒7という時計の速い決着となった
  前走のG1ブリーダーズCターフでも証明されましたが、
  コンデュイットが本当に得意としているのは、
  瞬発力が活かせる硬い馬場です。
  この馬が、一線級に踊り出てきた
  3歳6月のG2キングエドワードⅦ世S(カンバノロジストの2着)も、
  “ロイヤルアスコット開催には相応しくないほどの硬い馬場”(笑)と、
  イギリスの競馬関係者に言われているなかで行なわれたレースでした」

明日は、コンデュイットがジャパンCで、どんな走りを示してくれるかを、
さらに掘り下げて探っていきます。お楽しみに!

(明日更新の第4回に続く)

構成・文/関口隆哉



合田直弘氏プロフィール

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。