合田直弘氏インタビュー 海の向こうの競馬5 そしてホースマン

海外からトップホースを招いて行われるジャパンC&ジャパンCダートが11月29日(日)東京競馬場、12月6日(日)阪神競馬場で開催されます。
第2回
アメリカ勢3頭は、みんな仲良く入着級!?

米のJ・シェパード厩舎に所属するジャストアズウェルは、
今年9月にカナダのウッドバイン競馬場で行なわれた
ノーザンダンサーターフS(12F)で初GⅠ制覇を達成した、昇り調子の6歳牡馬です。

合田さんも、ジャストアズウェルが上昇気流に乗っていることを認めています。

「父に米の名種牡馬エーピーインディ、
  半妹にヨーロッパの現役G1馬レインボーヴューを持つ名血が、
  6歳にしてやっと開花してきた印象です。
  ノーザンダンサーターフSは、
  次に紹介するマーシュサイドの降着による繰り上がり優勝でしたが、
  今年2月のG1ガルフストリームパークターフHでキップデヴィルの2着、
  8月のG1アーリントンミリオンでジオポンティの2着と、
  チャンピオンクラスに善戦している点も、高く評価できると思います」

「ただ…」と、苦笑気味に合田さんが続けます。

「このジャストアズウェルも、やや渋った馬場で、
  持ち味の差し脚を十分に活かせれば、
  掲示板には載るかなという評価でいいでしょう。
  アウェイの日本で勝ち負けするには、
  もう一歩地力が足りないと見ています」

アメリカ勢最後の一頭であるマーシュサイド(牡6歳)は、
昨2008年のG1カナディアン国際S(12F)の勝ち馬。
昨年は来日までしながら、体調を崩し、ジャパンC出走はなりませんでした。

「昨年のジャパンCをスクラッチ(出走取消)した直後に、
  マーシュサイドのN・ドリスデール調教師が
  “来年のジャパンCには必ず出走する”
  というコメントを残しましたが、
  その意味では、ジャパンCへの強い意欲を感じさせる一頭です」

「530キロを超える大型馬で、
  広々とした東京コースは走りやすいタイプだと思います。
  かなりのムラ馬で安定感には欠けますが、
  近年、米のグラスホースが惨敗を続けていた、
  今年3月のG1ドバイシーマクラシックで5着に健闘した地力には、
  それなりの評価を与えていいと思います」

「で、3頭とも同じ結論で恐縮なのですが(笑)、
  マーシュサイドも入着級という評価で良いのではないでしょうか」

ということで、アメリカ勢3頭に対する合田さんの評価は、
みんな仲良く、“上手に走って掲示板まで” となリました。
明日からは2頭が参戦してくるイギリス勢の評価を合田さんに伺っていきます。

(明日更新の第3回に続く)

構成・文/関口隆哉



合田直弘氏プロフィール

1959年東京生まれ。慶應中学時代から馬術部に所属するかたわら、千葉新田牧場で「乗り役」としてのアルバイトをこなす。慶應大学経済学部卒業後、1982年テレビ東京に入社。『土曜競馬中継』の制作に携る。1988年テレビ東京を退職し、内外の競馬に関する数多くの業務をこなす(有)リージェントの設立に参加。
現在は、『世界の競馬』(NHK-BS)、『鈴木淑子のレーシングワールド』(グリーンチャンネル)などのキャスターも務めている。