それいけオークス

第14回 騎手と調教師の違い(2)

勝負服をスーツに着替えて、競馬場に「出勤」する松永調教師。
本人も覚えた違和感は、同じように周囲も感じていた。

―― 調教師はやはり大変ですか?

松永

ジョッキーと違って、
気にしなきゃいけないことが
いっぱいありますけど、
だからといって「大変だ、大変だ」
なんて言うつもりはないですよ。
だって、誰かに頼まれたんじゃなくて、
自分で望んで調教師になったわけですしね。

 

 

―― 騎手に戻りたい、とか思ったりはしますか?
松永いや、もう無理です、
調教師の体になってきてますもん(笑)。
こないだも、鹿戸(雄一調教師)さんに会ったときに
「顔が丸くなったな」って言われました(笑)。
四位でも、幹夫さんは
まだ調教にも乗っているから
キープできているんじゃないですか?
馬に乗らなくなると、某調教師みたいに、
一気に来るんですよね(笑)。
松永体重は2キロぐらいしか変わらないけど、
筋肉が落ちて脂が乗ってきてるから(笑)。
―― 四位騎手は、体重は大丈夫な方ですか?
四位ぼくも、最近はだいぶ脂がね……(笑)。
だから、食生活も、肉を少なくして、
魚を多くするとか、気をつけていますよ。
ジョッキーは、体重とうまく付き合うのも
仕事の一部ですからね。
でも、ぼくは、競馬の前の日に
1キロぐらい落とせば大丈夫なんで、
まだ楽な方ですよ。
―― 四位騎手から見て、松永調教師はそれらしくなった感じはしますか?
四位まだ、正直、違和感はありますよね(笑)。
競馬場でスーツを着てる姿を見ても、
不思議な感じはします。
松永それは、ぼくだって思います。
さすがに、最近は慣れましたけど。
パドックで、止まれがかかって、
ジョッキーより先に馬のところに行って……。
あれが、妙に恥ずかしかったですよ。
でも、調教師になって
「ひとつ勝つってほんとに難しいなあ」
ってことをすごく思いますね。
四位そりゃ、ジョッキーのときは数を乗れますからね。
それが今は、20頭ぐらいのなかで
勝負しないといけないんですから。
だけど、年の近い先輩ジョッキーが、
トレーナーになられたんですから、
やっぱり活躍して欲しいじゃないですか。
鹿戸雄一調教師にしても、北海道では、
いつもかわいがって頂いてましたからね。
そういう先輩方に頼まれたら、ビシッと乗らないと、
っていう思いはすごくあるんですよね。

 

 

―― 騎手での1勝と、調教師としての1勝は、
            どちらがうれしいですか?

松永そりゃ、どっちもうれしいですよ。
 

(明日につづく) 14時に更新します





 
今日のレッドディザイア 5月14日
追い切り後に蹄鉄の改装を行いましたが、
走りの衝撃の強さから蹄鉄の内側に穴が開いていました。
装蹄師さんは「これはね、それだけ衝撃が大きい証拠なんだよ。蹴りが強くて、力のある走りをする馬だからね。蹄鉄がこのような状態になる馬は、そうはいないよ!」