
ジョン・マコーマック氏プロフィール
1967年、アイルランド・ダブリン生まれ。
アイルランド・イギリス・アメリカ・オーストラリア・カナダの厩舎・牧場での経験後、ヨーロッパ大手サラブレッド商社・BBAアイルランドにてエージェントとして12年間勤務、10年前に独立。
日本関連ではこれまでに、シンコウフォレスト、タップダンスシチー等のGIウイナーを発掘。また繁殖ではウインドインハーヘアー(ディープインパクトの母)を日本に仲介。今年もすでに2回来日をしている知日派。
 
| 日本では、良血馬ほど当歳の時点で行き先が決まってしまうことが多い。 しかし、世界的に見れば、それは非常に珍しいことなのだそうだ。
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| ―― 日本のセリは当歳がもっとも盛んですが、 そのいい点、悪い点はどのあたりでしょう?
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| ジョン氏(以下J) | 生産者、つまり売る側にとっては、当歳のセリというのはいいのかもしれませんね。
 生まれたばかりなので、
 レントゲンだとか、スコープとか、
 そういった材料を出す必要もないわけですし。
 楽でしょう。馬を作る時間もありませんから、実にシンプルです。
 日本の伝統として、そういうセリがあるわけだから、
 それは尊重したい。
 実際に、当歳のセリから
 いい馬が出ていますし。
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| ―― アメリカや世界では当歳セリは少ないんですか? | 
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| J           | 日本のように、生まれて数ヶ月後の仔馬を対象とした
 セリを7月に開催するということは、
 まずないですね。
 あるとしても、早くて11月か12月。
 調教師、馬主、エージェントなど、
 買い手としては、1歳で買う方が
 リスクは格段に低くなると思います。
 ただ、先ほども言ったように、
 それぞれの国によって伝統や慣習があるので、
 それ自体を否定するつもりはないですよ。
 ただし、特に日本のセリは、外国に比べて、
 海外からのバイヤーが来ることが
 圧倒的に少ないでしょう。
 そういう当歳で買うシステムだから
 買いに来ないという背景もあるのではないでしょうか。
 まあでも、日本のマーケットを相手にしたセリなわけだから、
 日本のバイヤーが何を望んでいるか、
 ということを考えてセリを開催すればいいと思います。
 当歳のセリが根付いているということは、
 圧倒的多数の日本の買い手が
 リスクはより高くても当歳で買いたいと思っている、
 それを望んでいるということでしょう。
 そう考えるしかない。
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| ―― 当歳馬を取引した経験はありますか? | 
| J | ほとんどが日本向けですね。印象に残っているのは、
 生まれたばかりのラムタラの仔です。
 ラムタラの初年度はイギリスで種牡馬入りし、
 シェイクモハメドが
 自分の一族の繁殖を中心に付けたんです。
 だから、外部の牧場で実際に生まれた頭数も少なかった。
 そんな状況下で、日本から
 「ラムタラの仔がどうしても欲しい」
 というオファーがありました。
 そこで、いろいろと調べたら、
 アイルランドで見せてくれる牧場があったんです。
 行ってみたら、生まれて2日目でしたが
 良さそうな馬だったので、そこでもう即決しました。
 それが、数少ない生まれてすぐの仔馬を買った例です。
 日本では、そういうケースは
 よくあることかもしれませんが。
 でも、そのときは、馬を見て、
 良さそうな雰囲気は感じられたけれど、
 自分のやっていることに大きな自信はなかった。
 それがイングランドシチーです(28戦6勝、03年みなみ北海道S勝ち)。
 結果的には、まずまず成功でしたけれどね(笑)。
 まあ、兄姉が大きいレースを勝ったときには、
 その下の当歳をすぐに見に行って
 買うというケースはありますが、
 めったにない、特別なケースですね。
 あとは、投資目的で、
 ピンフッカー(※1)が買うことはあります。
 でも自分で走らせるために買うことはまずない。
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|  |  ※1 ピンフッカーとは購入した馬を育成・調教して売却する育成業者のこと | 
|  | (つづきは金曜日に更新します) 取材/J-horseman編集部 | 
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